業務効率化

【クラウド会計士の使用レビュー】弥生会計からMFクラウドに変えるメリットとデメリット

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。

  • facebook
  • twitter
  • はてなブックマーク
  • URL貼り付け

本記事は7分で読むことができます

更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月25日

会計ソフトといえば、弥生会計っていうくらい、弥生会計の知名度はすごく高いですね。
弥生会計のWEBサイトによると、

  • 登録ユーザー数は延べ130万人を突破
  • 会計ソフトのシェアは55%

私もこれまで税理士として多くのスモールビジネスや中小企業が弥生会計を使ってきていたのをみてきましたし、私自身、以前は弥生会計をメインで使っていました
でも、今はクラウド会計の魅力にとりつかれ、MFクラウドをメインに使っています。

 
ただ、私はクラウド会計しかないと思っていますが、一方で、クラウド会計のデメリットもありことから、インストール型の弥生会計の方がいいという方もいらっしゃいます。
そこで、今回は、なぜ私が弥生会計からMFクラウドに変えたのか、MFクラウドに変えるメリットとデメリットは何なのかについて書いてみます。

読了まで約5分、結論はこんな感じです。
MFクラウドに変えるとメリットが出る場合

  • 銀行やクレジットカードなどと連携させて事務作業を圧倒的に効率化したい
  • 経理などをある程度自社で管理して、事務の外注コストも抑えたい
  • クラウドの選択や初期設定やチューニングができる

弥生会計の方がメリットが出る場合

  • これまでの事務作業の流れを変えたくない
  • インターネット上に自社のデータを置くことに抵抗がある
  • 経理や給与計算などの事務作業は、お金がかかっても会計事務所や専門家に任せたい

 

まずは、弥生会計からMFクラウドに変えるメリット

銀行・クレジットカードとの連携ができる

これが、まず大きなMFクラウドのメリットになります。
MFクラウドは、2017年3月時点で銀行口座は全3,404口座、クレジットカードは132カード、電子マネーは全25サービスと連携しています。
これができることによって、何が便利になるかというと、MFクラウドが取引データをインターネットから自動で取ってきくれるということです。
今までなら、通帳や取引明細からエクセルでまとめて、弥生会計に入力していたものが、MFクラウドならワンクリックでデータを取り込むことができるようになります。
私の事例では、次の「人工知能を使った自動仕訳」を組み合わせて、最大限MFクラウドを使いこなした場合、経理作業が1ヶ月で15時間削減できたケースもあるくらい、すごい便利な機能になりますので、ぜひ使ってみてください。

人工知能を使った自動仕訳が使える

銀行やクレジットカードと連携して、取引データをMFクラウドに取り込むことができたら、次のステップは、取り込んだデータを自動で会計仕訳処理していくことです。
これもめちゃめちゃ便利で、弥生会計にはない機能です。
取り込んだ取引データの中で毎月繰り返し発生するような取引、例えば、電気代、水道代や定期的に取引のある仕入先や経費の支払先などを会計仕訳とセットで登録しておけば、翌月以降、その取引先のデータが取り込まれた時に自動で会計処理をしてくれるという機能です。
これを使いこなすには、初めに「MFクラウドに正しい会計仕訳を覚えさせる」というステップが必要になりますが、これをきっちりしていくと圧倒的なパフォーマンスを発揮するようになります。

請求書・給与計算・レジなど周辺の業務ソフトとつなぐことができる

業種・業態によりますが、事業を運営していく上で、さまざまな業務ソフトを使うことになると思います。例えば、

  • 法人向けに販売している会社であれば、請求書作成ソフト
  • 従業員を雇っていれば、給与計算ソフト
  • 飲食店や小売店であれば、POSレジ

これらの業務ソフトは、会社のいろいろな数字を日々入力していると思いますが、弥生会計を使っていると、次のような作業が必要になります。

  • 請求書作成ソフトの明細を印刷して、売上高を弥生会計に入力
  • 給与計算ソフトから給与一覧表を印刷して、給与情報を弥生会計に入力
  • POSレジから売上ジャーナルを印刷して、売上高を弥生会計に入力
  • もしくは、これら印刷した紙の資料を税理士さんに郵送して、弥生会計に入力してもらう。

これが、MFクラウドに加えて、その周辺の業務ソフトまでクラウド化することで、全部を連携させて、入力作業を自動化することができます。
これも、きっちり設定できたら、圧倒的に事務を効率化することができます。
私の事例では、クラウド化をきっちり仕上げたことで、これまで会計事務所や社外の専門家に依頼していた記帳や給与計算を自社で対応することができるようになって、大幅なコスト削減に成功した会社もあります。
このように、これまでのように「弥生会計を使って手作業で事務作業をする」という事務仕事を「MFクラウドを中心にクラウド化して自動化する」という事務仕事に変えることで、事務仕事を大きく削減することが可能となります。

弥生会計からMFクラウドに変えることによるデメリット

一方で、クラウド化は魔法の杖ではないので、変えただけでメリットが得られる訳ではありません。

インストール型の完成された弥生会計が使えなくなる

ご存知の通り、弥生会計は、インストール型の完成された会計ソフトです。
安定性は抜群で、インストール型であるため処理の速度も速いです。
MFクラウドは、クラウド型であるため、インターネット通信の状況次第では速度が遅くなったりすることもあります。
また、弥生会計なら大半の会計事務所が対応可能というところも弥生会計のメリットになりますね。

MFクラウドとの連携サービスの選択をミスるとうまく機能しない

請求書作成ソフト、給与計算ソフト、POSレジ、電子マネーなど世の中には無数の業務ソフトやサービスがあります。
MFクラウドのメリットを最大限活用する場合には、次の要件を満たす業務ソフトやサービスを選ぶ必要があります。

  • MFクラウドとうまく連携できるか?
  • 自社の業務にあっているか?
  • 料金は適切か?

インターネットで「給与計算ソフト」と検索するだけでも、膨大な検索結果が表示されます。 この選択でこけてしまうと、次のステップをきちんとしても、MFクラウドのパフォーマンスが十分に発揮できないため、慎重に選択する必要があります。

MFクラウドの初期設定が大変

MFクラウドの最初のハードルは初期設定になります。
MFクラウドの初期設定画面は、ユーザーフレンドリーでわかりやすくなっているのですが、そもそもが「会計」というとっつきにくいものなので初期設定にある程度の会計知識とコツ・ノウハウが必要になります。
しかも、銀行・クレジットカードとの連携や自動仕訳を徹底的に活用して大幅な効率化を目指すのであれば、より初期設定が重要になります。
MFクラウドをいかにチューニングできるかという点ですね。

クラウド公認会計士のまとめ

このように弥生会計からMFクラウドに変えることには、メリットとデメリットがあります。

MFクラウドに変えるとメリットが出る場合

  • 銀行やクレジットカードなどと連携させて事務作業を圧倒的に効率化したい
  • 経理などをある程度自社で管理して、事務の外注コストも抑えたい
  • クラウドの選択や初期設定やチューニングができる

弥生会計の方がメリットが出る場合

  • これまでの事務作業の流れを変えたくない
  • インターネット上に自社のデータを置くことに抵抗がある
  • 経理や給与計算などの事務作業は、お金がかかっても会計事務所や専門家に任せたい

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。その後、株式会社ナレッジラボを創業し、代表取締役CEOに就任。

  • facebook
  • twitter
  • はてなブックマーク
  • URL貼り付け

おすすめの記事