マネジメント

【体験レポート】サン共同税理士法人様 オフィス見学&RPA体験見学会

高木健太郎

監修:高木健太郎(税理士)

株式会社ナレッジラボ執行役員ビジネスサクセス本部長、兼税理士法人ナレッジラボ代表社員

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更新日:2020年2月3日 投稿日:2020年2月3日

サン共同税理士法人様の会計事務所見学会に参加してきました!
税理士法人の代表という立場でとても学ぶべきことが多く、またノウハウを惜しみなく公開されており驚きの内容でした。

今回は体験レポートという形で見学会の様子をお伝えいたします。

自己紹介

ナレッジラボのビジネスサクセス本部責任者の高木です。
私の仕事は弊社の経営管理アプリ「Manageboard」を導入頂いたユーザー様向けのサポートです。今は主に会計事務所のユーザー様に対してサポートをしています。
「サポート」というと一般的には、ユーザー様からの電話やチャットでの問い合わせに対応するコールセンターのようなものを想像されるのではないでしょうか?
もちろんそういった受け身のサポートもしています。
ただ、こちらからユーザー様のもとへ行き、説明会・使い方講座を開催する積極的なサポートも行っています。セミナーの企画、運営なども業務範囲に入ります。
部署名が「ビジネスサクセス」なっており、ユーザー様の成功をサポートするためにありとあらゆる業務を行います。
また私自身税理士であり、税理士法人ナレッジラボの代表も兼務しています。税理士業務、会計事務所経営について当事者の立場からお話できることは、大きな特徴です。

ManageboardはAIチェック機能による業務効率化と、決算予測機能による付加価値アップを同時に実現できるクラウドツールです。
導入サポートにお伺いしたり、導入事例作成のためのインタビューをしたり、ユーザー様のお話を聞くことがとても多いです。

多くの事務所様のお話をお聞きする中で、サン共同税理士法人様が非常に先進的な事務所運営をされているとお聞きしました。さらにはそのノウハウを事務所見学会にて公開されているとのこと。
ぜひ参加してみたいと思い、1月開催の見学会を体験してきました。

一言でいいますと、「ノウハウてんこ盛り、出し惜しみなし」の見学会でした。
ここまで何もかも公開される見学会はほとんどないと思われます。

 

はじめに

青山タワープレイスへ集合。
駅からのアクセスも良く、東京初心者に近い私でも迷わずにたどり着けました。
最初にサン共同税理士法人様の事務所の概要説明が行われました。
資料が机に置かれていて、説明が始まる前にパラパラと見ていたのですが、「ここまで公開されるんだ、、、」と度肝を抜かれました。これは始まる前からかなり楽しみです。

 

サン共同税理士法人様の概要説明

朝倉代表自ら登壇されて、見学会スタートです。

まずは、
・サン共同税理士法人様の組織図、沿革、特徴
・売上、顧客数、スタッフ1人当たりの売上高や顧問先へのチャージレート
などを説明されました。
各数値は実際の数値を出されていました。
会計事務所経営で管理すべき指標である「顧客単価」「スタッフ1人当たり平均売上」「労働分配率」などを公開されていました。これは事務所の内情がとてもよくわかる重要指標であり、自信がないと出せない数字だと思います。なかなか他の会計事務所の数値を見ることがないので、私も興味津々でした。

朝倉代表のお話からもそうですし、公開された指標からも明確に感じたことがあります。
それは「結果を出したスタッフに報いる」という姿勢です。スタッフを大事にして、正当に評価していくという経営陣の意志が感じられました。

またサン共同税理士法人様として、注目すべき点は会計事務所のM&Aを3度ご経験されていることです。
会計事務所の事業承継はまだまだケースとしては珍しいことだと思います。
サン共同税理士法人様は2016年に開業後、3年間という短期間で3回もM&Aをされており、これは類を見ないペースだと思います。
私見ですが、おそらくその期間で急激に人員が増え、組織化がなされていき、その過程で様々なITツールの活用や仕組化がなされた印象を受けました。

経営管理については、次の4つに分けて詳細な説明がありました。
・「人の管理」
・「業務の管理」
・「業績の管理」
・「リスクの管理」

人の管理については、ポジション、評価シート、ランク表などが公開されました。
会計事務所の生命線は間違いなく人です。
人に関して「適正な評価をすること」をかなり重視されている点が見受けられました。
スタッフに対してスタッフごとに期待する業務を明確に提示されており、従業員の納得感を得やすい形になっていました。どの業務ができるようになれば次のフェイズへ上れるのか、会社としての基準を明確に示すことが重要であると認識しました。

業務管理として興味深かった点は、仮想環境サーバーを活用されている点です。
仮想環境を準備すれば、古いPCでも実務上問題なく、1万円程度のスティックPCでも活用できるとのこと。今ある設備を活かして安価に導入できる点は魅力です。
また導入に際しては助成金が活用可能ということで、初期費用も抑えられそう。
個人的には、事務所のデータ管理体制はクラウド一択と考えていました。
しかし、こういった仮想環境を活用することももう一つの選択肢だと気づきがありました。知らないということは怖いなと改めて感じます。

業績管理については、独自に3つの指標で管理をされていました。
一般的には顧問先ごとに生産性を図ると思うのですが、サン共同税理士法人さんではそれを詳細に、かつスタッフについては別指標で生産性等を把握されています。
ここでは詳しくは書けないのですが、いずれも会計事務所経営者としては経営のキャッシュフローや効率に直結する指標であり、思わずうなってしまう指標です。

最後にリスクの管理。
会計事務所は業務遂行上、税理士に対する損害賠償請求をはじめ様々なリスクにさらされています。
リスクコントロールを一歩間違えると、事業存続にも関わる重大な事故になりうるため、リスクマネジメントには相当に気を使われている印象でした。
私は自分が代表者になって気づいたのですが、会計事務所業務はとてもリスクが高く、一歩間違えれば顧問先から訴訟を起こされて一文無しになる可能性すらあります。
しかもそのリスクは日々の業務の中に、相当身近なところにあります。
最も大きな課題は、リスクに対する感度について経営者とスタッフで大きな開きがあること。これは開業し、スタッフを雇用している全ての税理士が痛感している点ではないでしょうか。
この前提を踏まえた上で、サン共同税理士法人様では、いかにスタッフにリスクに気づいてもらえるような意識づけをしていくかが重要だと感じます。日々の業務を行うスタッフに対しどのような教育・情報提供を行うべきか、サン共同税理士法人様は相当ノウハウをお持ちだと思いました。

ここまでのお話を聞いていて強く感じたこと、それは「人」というキーワードが全ての話の根底にあるということです。
働くスタッフのことを何よりも考えて制度設計がなされていました。もちろん甘やかすのでなく、正当に評価する前提のお話です。
朝倉代表からも「働いてくれている人が大事」というコメントが繰り返し出てきており、経営者が人の重要性を認識されているのが、急成長されている大きな要因であると感じました。

次に在宅ワークのお話でした。
サン共同税理士法人様は事務所規模を拡大していく中で様々な採用媒体を試され、多くの成功・失敗を経験されていました。
在宅ワークを実現するための効果的な求人媒体とその運用、在宅ワークを行えるようにするための環境整備のお話でした。
在宅ワークについて実践している会計事務所はまだまだ少なく、各事務所さんともに手探りの状況かと思います。
率先して仕組み作りに取り組まれ、その在宅ワーカーに具体的に割り当てている仕事、また組織内の立ち位置など詳細にお話頂けました。
試行錯誤しないと絶対にわからない在宅ワークの要点をぎゅっと詰め込んでお話頂けました。

ここからはお昼休憩。
お弁当が配られます。おいしいお弁当を頂いて休憩です。

 

執務スペース見学

お昼休憩後はいくつかのグループに分かれて執務スペースへ移動します。
執務スペースではスタッフさんが静かに集中されている様子でした。
在宅勤務の方を上手に活用すれば、コンパクトな事務所運営ができるとおっしゃっていた点が非常に印象的でした。

当日はIT担当の安田様にご案内頂きました。
3つのディスプレイを活用されており、その理由、実践的な使い方をご案内頂きました。
さらに、電子調書作成について、決算書や調書を画面に表示してもらいながら説明頂けました。非常に実践的な内容です。紙でチェックするという発想がなく、普段から紙でチェックする習慣がある私からすると、とても新鮮な光景でした。

 

朝倉代表との質疑応答

その後、朝倉代表との質疑応答に移ります。
事務所の仕組みを構築されてきた朝倉代表と直接応答して頂けるのは非常に貴重です。数名のグループに分かれて、質疑応答ができるので非常に質問しやすい雰囲気となっていました。
事務所の料金表、及びその料金設定の意図するところ、商談時の説明、現場での運用など包み隠さずに教えて頂けます。商談時に税務顧問料と記帳代行料の違いを理解してもらうか、その話法はとても参考になりました。
料金表には今まで多くの提案をされてきたノウハウが凝縮されていました。

顧客との初回面談のチェックシートや税務顧問契約締結時のチェックシートなど実務ですぐに活用できる資料も頂けます。
さらにお客様との資料のやりとりを行う「領収書ファイル」も当日ご紹介頂けます。顧問先とのやりとりを標準化することが、所内スタッフのミス防止につながり、結果的に人を大事にすることに繋がっている印象を受けました。

また、圧巻は税務調査時のお客様への提出資料や見積書の説明でした。
一般的には税務調査時の立ち合い報酬については、なかなか顧問先に請求しにくいものだと思います。
ただ、会計事務所としては調査の事前段階であっても、事前の資料準備や論点のリストアップ、当日の対応のコツを顧問先へお伝えするなど多くの手間がかかります。
こういった会計事務所としての付加価値を、いかに顧問先に納得頂くかがキーポイントで、これをわかってもらうための工夫を随所にされていました。
顧問先に説明するための税務調査の心構えや税務調査に対する税務調査の見積書ものサンプルも頂けます。これはそのまま使えるものです。
税務調査の心構えについては、同業者である私が見てもうなってしまうような、かなり濃い内容となっていました。

 

RPA研修会

最後の2時間はRPAツールの研修会でした。
私自身、RPAは難しいという先入観がありましたが、ただし、講師の安田さんレクチャーのもと操作してみると意外に簡単にRPAロボを作成することができました。イメージとしては、人間がやっている操作を一つ一つ指示してあげる感じです。ただ、難しいプログラムを組むのではなく、直観的に作成していくことができました。
ちなみに、レクチャーするスタッフの方が何名かいてくれますので、不明点があってもすぐに聞ける環境です。
個人的には、RPAの必要性やメリットは理解しつつも、やはり実際に触ってみないと何とも言えないと考えていましたが、実際に触ることで腹落ち感がありました。

またRPAはあくまでもツールなので、いかにこのツールを使いこなすかは、会計事務所業務の見直し、再定義もセットではないかと感じました。
今の業務のままRPAを導入というよりも、業務の要不要を見極めた上RPAを導入すれば大幅な効率化が図れるイメージがわきました。

 

最後に

あっという間に時間がたち、終了の時間となりました。

とても勉強になることが多く、また事務所経営にすぐ活かせる内容であるため、すぐに実践したくなりました。

見学会は引き続き行っていらっしゃるようです。

ご興味お持ちの方はこちらから。

https://tax-startup.jp/rpa-consulting/kengaku/

高木健太郎

監修:高木健太郎(税理士)

税理士資格取得後、NTN㈱・旭硝子㈱において、原価計算を中心とした管理会計、予算管理などの業績管理業務を経験。 その後株式会社ナレッジラボの設立に参画し、上場企業での業績管理実務の経験を活かし、中小企業にクラウドツールやバックオフィス業務の効率化を推進。 現在はManageboardのカスタマーサクセス部門の責任者として、ユーザー様がManageboardを使いこなして頂くためにあらゆるサポートを行っている。

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