更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月25日
飲食店の儲けの方程式
実は、儲かる飲食店となるための儲けの方程式があります。
方程式というと、小難しく聞こえるかもしれませんが、シンプルなものなのでご安心ください。
これが、飲食店の儲けの方程式です。
この方程式をもとにお店の経営を組み立てていかないと利益を出すことが難しくなります。
この方程式から何がわかるかというと、客単価を上げれば、利益が増える、原価率を下げれば利益が増えるというようなことです。
しかし、これだけでは面白くないので、もっと突っ込んで考えてみましょう。
居心地屋とこだわり屋はどっちが儲かる?
この儲けの方程式について、具体的な設例を使って説明してみたいと思います。あくまで設例ですので、数字について現実と異なる点がありますが、ご容赦ください。
例えば、居心地屋とこだわり屋という2つの居酒屋がありました。
居心地屋の場合
居心地屋は、お客様にくつろぎの空間を提供したいということで、個室であったり、居心地のいいお店作りをしていました。
それによってお客様には好評でしたが、どうしてもお客様の回転数を上げることができませんでした。平均的にランチが2回転、夜は1回転でした。
また、余裕のある店舗空間を作ったことで、座席数は30席となりました。
その結果、次のような毎月の儲けとなりました。
夜 4,000円×30席×1回転×(1-30%)×25日=210万円
固定費 人件費150万円+家賃50万円+経費100万円=300万円
このようになって、毎月の儲けは5万円しか残りません。
こだわり屋の場合
一方で、こだわり屋は、お客様にたくさん来てもらうために戦略を練りました。
まず、低価格で美味しいものを食べてもらうために、産地にこだわった食材を選択しました。これによって、原価率は50%まで上がりました。
その代わり、お客様の回転数を上げるために、小さいテーブルにして、座席も背もたれがないものとするなど、あえて居心地の悪いお店作りをしてみました。
その結果、お客様の回転数がランチで3回転、夜が2回転まで上げることができました。
また、窮屈な店舗空間でもOKということで、40席を詰め込むことができました。
その結果、次のような毎月の儲けとなりました。
夜 3,000円×40席×2回転×(1-50%)×25日=300万円
固定費 人件費180万円+家賃50万円+経費125万円=355万円
このような形で、こだわり屋は、毎月50万円の儲けが残るようになりました。
儲けの方程式とお店のコンセプト
原価率は30%にすべき、というのは本当?
よく、飲食店の原価率は30%にすべき、といわれることがあります。
でも、先ほどの居心地屋とこだわり屋の事例は、そのようなセオリーをそのまま信じると危ないという事例でもあります。
というのも、ほとんど儲かっていない居心地屋は原価率をセオリーどおり30%としています。一方で、儲かっているこだわり屋の原価率はセオリーを無視して50%としています。
このように、原価率を何%にすれば儲かるというような正解はなく、客単価や回転数、固定費などと密接に絡み合ってお店の儲けは決まってきます。
コンセプトと儲けの方程式を一体で考える
居心地屋は居心地のいい空間を提供するというコンセプト、こだわり屋はとにかくいいものを安く提供するというコンセプトのもとで営業していますが、コンセプトと利益の方程式があっているかどうかが重要なポイントとなります。
これは、居心地を重視すると儲からないということではない点、ご留意ください。
お客様の回転数が少なくなっても居心地を重視したいということであれば、客単価や原価率という別の要素で利益を出すように考えていけば大丈夫です。
例えば、居心地屋の夜の客単価を500円増やすことができれば、
夜 4,500円×30席×1回転×(1-30%)×25日=236万円
固定費 人件費150万円+家賃50万円+経費100万円=300万円
となって、利益は41万円残るようになります。この形ができれば、居心地屋も儲かるお店に変わります。
なので、お店で実現したいコンセプトをベースに利益の方程式に当てはめて、いろいろなシミュレーションを繰り返しながら、お店の儲かる方程式を作っていけばよいのです。
儲けの方程式とお店作りを両輪で回すことが重要
このように、儲かるお店にするためには、儲けの方程式を徹底的に作り上げることがとても重要なポイントとなります。
儲けの方程式を固めないまま、イメージ先行でお店作りをすると、忙しいけど儲からないお店になってしまったり、いつも資金繰りに追われて、気づいたらお金がなくなってしまったりします。
しかし、儲けの方程式を作るためには、会計データをエクセルなどの表計算ソフトなどを使いながら分析していく必要があります。
エクセルは非常に便利なツールで、シンプルな分析であればエクセルで十分できますが、いくつか難点があります。
まず1点目ですが、儲けの方程式を作る時に、様々なシミュレーションをしたり、毎月計算したりすることでたくさんのバージョンができますが、エクセルの難点として、ファイルのバージョンがわからなくなったり、途中でファイルが壊れるなど、仕上げていくためのやりとりに非常に手間がかかります。
次に、エクセルは非常に優れたツールでゼロベースでいろいろなことができるのですが、裏を返せば、ゼロから作らないといけないので、結構大変な作業になってしまいがちです。私たちも以前はエクセルで経営分析のサポートをしていましたが、私たちプロがやっても、1社あたり毎月1〜2時間はエクセルの作業時間を費やしていました。
このように、儲けの方程式を作るための会計分析をエクセルでしようとするといくつかのハードルがあって、せっかく経営にとって非常に有効な手法である経営分析の活用が広まらない一つの要因でもありました。
私たちは、これらのハードルを取り除いて、もっとたくさんの事業者の方に経営分析をおこなって欲しいという思いものもとで、クラウド会計を使って簡単に会計分析できるクラウドサービスManageboardを開発しました。
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