マネジメント

スマレジで売上アップを実現する3つの分析手法と具体的ポイント

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。

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本記事は10分で読むことができます

更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月25日

スマレジをはじめ、iPadレジを使用することで、お店の売上データを簡単に分析できるようになります。
売上分析って難しそう!とか、データの味方がよくわからない、という方もいらっしゃるかと思いますが、ご安心ください。スマレジを使うと本当に簡単に売上を分析して、売上アップにつなげることができるようになります。
今回は、はじめてレジを使って売上分析をする方でも簡単にわかるようにスマレジを使った売上分析のやり方を解説します。

スマレジで売上分析

iPadレジを使用してお会計を行うと、売上データが自動的にインターネット上に蓄積されていきます。
経営を行っていく上で、この売上データはお店の改善活動を行う上での貴重なデータとなります。

  • お店の売上がどの商品で作られているのか?
  • 売れ筋商品は何か?
  • 何時頃の売上が最も多いのか?

などなど、データが取れていたら、いろいろな売上アップ策を検討することができます。
スマレジは多機能なiPadレジで、特にこの売上データ分析について、多くの機能があります。
売上データ分析は、ほとんどの項目についてCSVデータでの出力が可能ですので、自由に加工して分析することも可能です。
以下では、スマレジでよく使われる分析項目を中心に解説していきます。

スマレジではどんな売上分析ができるの?

まずは、スマレジでどのような売上分析ができるのかというところからみていきましょう。
売上分析は、インターネットにつながったパソコンのスマレジ管理画面から行います。スマレジ管理画面のサイドバーの「売上分析」をクリックすると、次のような画面になります。

スマレジの売上分析には、次の項目があります。

  • 日別売上
  • 時間帯別売上
  • 時間帯グループ別売上
  • 曜日別売上
  • 商品別売上
  • 部門別売上
  • グループコード別売上
  • 客層別売上
  • 店舗別売上
  • 販売員別売上
  • 端末別売上
  • 取引タグ別売上

このように、スマレジの機能を全部使おうと思えば、12種類の売上分析ができるようになっています。このうち、主なものを解説していきます。

分析手法1 日別売上集計

日別売上集計では、1ヶ月分の日別の売上に関するデータを把握することができます。次のような画面です。

スマレジの日別売上分析の特徴として、次が挙げられます。  

  • 日別の売上高や売上原価、原価率や粗利益が把握できる
  • 日別の取引単価や客単価が把握できる
  • 予算を設定し、達成率が把握できる
  • 前月対比及び前年対比が把握できる

これらの情報は、いずれも経営を行う上で非常に有益な情報です。この情報を日別にグラフなどでわかりやすく直感的に把握することができます。
それでは、1つずつ見ていきましょう。

ポイント1 売上高や売上原価、原価率や粗利益を分析する

スマレジの日別売上では、売上高の他に、売上原価や粗利益も算出されます。
小売店や飲食店では、売上高に目がいきがちです。
しかし経営で最も重要なことは、商品やサービスを販売することによる利益です。利益は、売上ー原価=利益という形で計算されるように、売上だけでなく、原価が重要な要素となります。
したがって、同じ売上高であっても、「原価の高い商品を販売した場合」と「原価の低い商品を販売した場合」では、利益は異なります。
例えば、飲食店に多いのは、平日のメニューと土日のメニューが違うため、粗利益が異なるといったケースが挙げられます。
このような場合、後述する商品別売上分析で平日と土日の商品売上構成を見てみるとさらに詳細な分析が可能になります。
なお、粗利益を算出するためには事前に商品ごとに原価を設定しておく必要があります。
この操作はスマレジのiPadアプリ、パソコンのスマレジ管理画面どちらからでも可能です。
それでは、実際にスマレジに商品の原価を設定してみましょう。
ここでは、パソコンのスマレジ管理画面から登録してみます。スマレジ管理画面のサイドバー「商品」タブを選択し、「商品一覧」から原価を設定したい商品をクリックします。

「基本情報」の中に、「原価」を入力する項目があります。
商品の原価について、正確に計算できなかったり、多少の変動が避けられないような商品もありますので、スマレジに入力する原価は概算額でも問題ありません。
新規で商品を登録する際には、販売価格だけでなく、原価項目も忘れずに入力しておくようにしましょう。
ただ、原価が大きく変わった時には、登録している原価の値も変更するようにしましょう。そうしないと、正確な利益分析ができなくなるので、スマレジが活かしきれなくなってしまいます。

ポイント2 取引単価、客単価を分析する

小売店や飲食店では、取引単価や客単価を経営判断の重要な指標としていることも多いと思われます。
まずは取引単価ですが、取引単価は、売上高÷取引数で算出されます。
取引数はレジを打った回数(チェックアウトを行った数)であり、これは客数とは異なる数になります。売上高をレジ通過回数で割ったものが取引単価です。
また、スマレジでは客単価を算出することも可能です。客単価は客単価は売上÷客数で算出します。
客単価を算出するためには、お会計を行う際に「客数」を入力しておく必要があります。
客数の入力は次のように行います。

客数入力はお会計時にひと手間がかかりますが、これによりスマレジの売上分析で客単価を把握することができるようになります。
売上は客数×客単価×購入頻度で決まると言われます。

売上=客数×客単価×購入頻度
売上と合わせて客単価を分析することで、売上を伸ばすために必要なのが

  • 客数なのか?
  • 客単価なのか?
  • 購入頻度なのか?

がわかるようになります。
例えば、先月に比べて売上が減っていたとします。
その原因が客数が減っていれば、チラシや広告を打つことで客数を増やしていく施作が検討できます。
また、客単価が減っているのであれば、飲食店ならもう一品注文してもらえるようなメニュー作りや接客をしたり、小売店なら、お客様がお求めの商品と関連する商品のセット販売などの施作の検討ができるようになります。
スマレジでは客単価をリアルタイムで把握することができるため、これらの施策を行った結果の効果測定も、すぐに把握することができます。
スマレジを活用することで、売上アップのためのPDCAを早く回すことができるようになります。

ポイント3 予算を設定し、達成率を把握する

スマレジでは予算と実績の対比を行うことができます。
予算の機能を活用するには、事前に予算を設定しておく必要があります。
予算を設定するには、パソコンのスマレジ管理画面のサイドバー「予算」タブを選択した後、店舗や期間を指定し、月別予算金額を入力しましょう。

さらに日別の細かい予算も設定することができます。
日別予算を設定しない場合には、月別予算金額を単純に日数で割って日別予算が自動作成されます。
お店の経営で重要なのが、目標を設定して、それをスタッフ全員で達成していくことです。
目標がなければ、毎日を漫然と過ごしてしまいかねず、気づけばジリ貧になっていることがよくあります。きっちり目標を設定し、それを月単位、日単位まで落とし込んだ予算を設定しながら、目的意識を持った経営をしていく必要があるのです。
予算の管理は、スマレジを使って簡単に行うことができますので、目標とする売上を達成するためには、是非とも活用していただきたい機能になります。

ポイント4 前月対比・前年対比を把握する

スマレジでは日別売上の画面の一番下に、「当月実績」と、「前月実績・前年実績」とを比較する項目があります。
特に注目すべきは前年実績です。
小売店や飲食店は、月ごとに売上が変動することがよくあります。例えば、うなぎ屋さんは夏場の売上が大きくなりますし、蕎麦屋さんは年越しそばのある年末の売上が増える傾向にあります。
したがって、今月の売上を前月の売上と比べても、あまり意味のある分析ができないことが多いのです。ここで重要になるのが、前年の同じ月の実績と比較することです。例えば、うなぎ屋さんであれば、去年の7月と比べて今年の7月の売上がどうなのかを数字で分析することに意味があります。
スマレジでは、前月実績との比較、前年実績との比較を売上高、原価、粗利益などの各項目を簡単に分析することができます。

単純に今月の売上がよかった、悪かったと言って一喜一憂するのではなく、前月と比べてどうだったか?前年の同じ月と比べてどうだったか?というような数字の比較をすることで、お店の現状を把握することが重要となります。
日別売上分析では、いろいろな角度からの分析の仕方、数字の見方を説明しました。日別売上分析以外にもスマレジにはいくつかの分析機能があります。分析の仕方は日別売上分析で解説した話と同じですので、どのような分析ができるかという点を中心に簡単にご紹介したいと思います。

分析手法2 時間帯別集計

時間帯別集計は、レジでお会計を行った時間ごとの売上データを把握することができます。

この売上データでは、1時間ごとの売上はもちろん、客数や客単価まで把握できます。
この時間帯別売上データは、次のような活用方法が考えられます。

アルバイトのシフトに活かす 

飲食店や小売店において、人件費は大きな負担となります。そのため、売上に応じてアルバイトのシフトを組み立てられるかということが、経営をうまく回していくポイントとなります。
時間帯別売上集計を使えば、例えば、来月のアルバイトのシフトを作るとき、前年同期や先月の時間帯別売上がどのようになっていたかを見ながら、感覚ではなく具体的な時間帯別の売上をみて、シフトを組み立てることができるようになります。

お客様の回転数を高める 

居酒屋であれば、夕方は来客数が少なくなるものですが、時間帯別の売上データを見ながら、時間限定の特別料金を設定するなどの集客策を検討することができるようになります。例えば、レジの時間帯別売上をみて、19時以降の売上や客数と比べて、17〜18時の売上が落ち込んでいれば、「夕方17時から18時まではハッピーアワーでビール半額」などの施作を打って、来客を促し、この時間帯の売上を増やしていく方策を検討できます。
スマレジの時間帯別売上データは、リアルタイムで時間帯ごとの客数や客単価を把握できるため、このようなキャンペーンの効果をすぐに測定することができます。キャンペーンの効果があったかどうかを感覚ではなく、数字で正確に把握できることは大きなメリットになります。

分析手法3 商品別集計

スマレジの商品別売上では、期間を指定し、売上高の多い商品順に商品を見ることができます。また期間は1日単位で指定することができます。

検索オプションを活用すれば、販売点数順・商品名順・在庫数順での並び替えも可能です。
CSVでデータをエクスポートすることも可能ですので、詳細な分析を行いたい場合は、是非活用しましょう。
商品別売上分析を行うことで、次のような効果を得られるようになります。

売れ筋商品の把握

お店の売れ筋商品や売上トップ10の商品を把握することができるようになります。
どの商品がお店の売上や利益を稼ぎ出しているのかを具体的に把握することができるようになり、売れ筋商品を軸にしたお店の商品構成の検討や売れ筋商品のついで買いなどを誘発させる策を検討することができるようになります。

商品別の利益分析

例えば、居酒屋であれば、一般的に生ビールよりもハイボールの原価が低いため、生ビールを400円で販売するよりもハイボールを350円で販売した方が利益が残るというようなことも起こり得ます。このように、商品別の売上だけでなく、原価まで含めた分析が重要となります。
商品別集計機能を使えば、主な商品別に、どの商品がどのくらい売上に貢献しているのか?利益を稼いでいるのか?を把握することができるようになり、販売価格の見直しやあえて利益を減らしてでも集客商品として使うべき商品はどれか?というような分析ができるようになります。

まとめ

スマレジにはここに挙げた以外にも様々な種類のデータ分析が可能です。
スマレジのデータ分析を使いこなせば、きっとお店の売上をアップさせることができるようになります。
まずは、ここに挙げたデータ分析から始め、慣れてきたら、徐々に他のデータ分析にもチャレンジしてみましょう。

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。その後、株式会社ナレッジラボを創業し、代表取締役CEOに就任。

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