更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月26日
消費税軽減税率対策補助金とは?
ご存知の方も多いと思いますが、消費税の税率は平成31年10月1日から現行の8%から10%にアップする予定です。
同時に政策的な観点から、飲食料品を中心とした一部の商品について、消費税率は8%のまま据え置きとなります。
したがって、平成31年10月1日以降は8%と10%の2つの消費税率が混在することになります。
事業者からすると8%と10%の税率が混在した消費税額の計算が必要になって、複数税率対応レジの導入など、システム対応が必要になります。
これらの事業者が負担しなければいけなくなるシステム対応費用を国が支援するために、「消費税軽減税率対策補助金」が創設されました。
この補助金の中に「モバイルPOSレジシステム」が規定されており、iPadレジの導入が補助金の対象になります。
補助対象となる事業者
●個人、法人どちらでも対象になる
●対象となる商品は「飲食料品(お酒や外食サービスを除く)」と「新聞」
前提として、対象となる商品である「飲食料品(お酒や外食サービスを除く)」と「新聞」を取り扱っているお店は対象となります。
ここでいう飲食料品とは「食品表示法に規定する食品」をいいます。
例えば、牛丼屋での店内飲食やフードコートなど、飲店内だけで飲食するような飲食店は対象外ですが、「持ち帰りのための容器に入れ、または包装を施して行う飲食料品」として牛丼屋のテイクアウトやコンビニ弁当は対象となります。
ここで注意すべき点があります。
消費税軽減税率対策補助金の窓口に確認したところ、支援対象となるのは「あくまで現時点で軽減税率対象となる物品を扱っている事業者」とのことです。
例えば、持ち帰りの飲食料品のみを扱う事業者(=消費税率アップ後も消費税率は混在せず8%のみ)であっても、補助金の対象となるとのことです。
「消費税率の混在が将来見込まれること」が要件ではないとのことで、ここは注意が必要なポイントです。
ただし、現時点で対象商品を取り扱っていなくても、補助金の申請時点で軽減税率対象の商品を取り扱っていればOKなので、レジ導入までに取り扱う予定であれば補助申請できる可能性があります。
なお、申請時に軽減税率の対象となる商品(飲食料品等)が記載された仕入納品書、又は仕入請求書を添付する必要があります。予定や将来計画だけで、取扱いの事実確認ができない場合は、補助対象にはなりません。
●消費税が課税されない事業者(免税事業者)であっても補助対象になる
●補助の対象となる業種や規模に制限が設けられている
この補助金は、以下の中小企業者、小規模事業者等でないと受給することができません。特に複数店舗をお持ちの小売業やサービス業の方は、資本金や従業員数の制限にひっかかってしまうケースもあります。
また、大企業の子会社も制限がありますので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
中小企業・小規模事業者等の定義
対象業種・類型等 | 下記のいずれかを満たすこと | |
---|---|---|
資本金額・出資総額 | 従業員数 | |
1.中小企業支援法第2条第1項第1号~第2号に規定される中小企業者 | ||
製造業・建設業・運輸業・その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
2.中小企業支援法第2条第1項第3号(中小企業支援法施行令第1条)に規定される中小企業者 | ||
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
3.中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 | ||
事業協同組合 事業協同小組合 協同組合連合会 企業組合 協業組合 商工組合 商工組合連合会 | ||
4.特別の法律によって設立された組合又はその連合会であって、その直接又は間接の構成員たる事業者の2/3以上が上記1及び2の中小企業者(中小企業支援法第2条第1項第5号に規定される中小企業者) | ||
5.特定非営利活動法人 | ― | 50人以下 |
6.社会福祉法人 | ― | 50人以下 |
7.消費生活協同組合 | 5千万円以下 | 50人以下 |
8.商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 | ||
9.商店街振興組合及び商店街振興組合連合会 | ||
10.その他中小企業庁長官が認める者 |
ただし、次の(1)~(3)のいずれかに該当する中小企業者(「みなし大企業」という。)は補助対象外となります。
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の1/2以上を同一の大企業が所有している中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2/3以上を大企業が所有している中小企業者
- 大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の1/2以上を占めている中小企業者
※ 業種は日本標準産業分類に基づきます。
※ 複数の業種に分類される事業を行っている場合は、直近の決算書において「売上高」が大きいものを主たる業種として判断します。
売上高が同じ場合には、「各事業の従業員数」から判断します。ただし、「製造小売」は「小売業」に該当します。
※ 常時使用する従業員の数には、事業主、法人の役員、臨時の従業員は含まれません。
申請の流れ及び申請期限
申請の大きな流れはレジの「購入」→「導入」→「支払完了」→「交付申請書の提出」という形になります。
申請期限は、従来平成30年1月31日にまででしたが、先日、平成31年9月30日まで交付申請書の提出期限が延長され、より取り組みやすい補助金となりました。
補助金の申請がよくわからないという方がいらっしゃれば、当社までお問い合わせください。
補助対象経費
補助対象経費の注意点として次になります。
- レシートプリンターは購入必須となります。
- タブレットはご自身ですでにお持ちのものがあれば、そのままお使い頂いても構いません。
- 中古品は補助対象となりません。中古で安く手に入れるか、新品で補助を受けるかは要検討になります。
- ポイントを利用して購入した場合は、ポイント利用分は補助金の交付対象にはなりません。大手家電量販店でポイントを利用してiPadを購入される場合は、ご注意下さい。
なお、次の経費については補助対象外となりますので、ご留意ください。
- ハードソフトの保守費用、月額払い等のサービス利用料
- 既存レジ等の撤去、除去費用
- 会議および打ち合わせ等の諸費用
- ハンディーターミナル、テーブルオーダー、キッチンプリンタ等
- 消耗品(レジロール、レジ用インク 等)
- 消費税
- 手数料
補助率と上限金額
補助対象経費に補助率を乗じた金額(上限あり)が補助金額になります。
区分 | 補助率 | 補助金上限 |
---|---|---|
タブレット | 1/2 | 1システムあたり上限20万円 |
付属機器及び対象サービス導入費 | 2/3 | |
設置に要する経費 | 2/3 | 1システムあたり上限20万円 |
他の用途にも使用できるタブレットは補助率が低く、レジ専用で使用するレシートプリンターやドロアは補助率が高くなっています。
補助率と上限金額に関する注意事項は次になります。
- 1システムあたりの導入費用が3万円未満の場合は補助率が3/4になります。ただし、これはレシートプリンターのみを導入する場合など、補助対象経費が少ないケースに限られます。
- 1事業者あたりの補助金上限額は200万円となります。チェーン店で一斉にレジを導入する場合は注意が必要です。
申請方法
申請書の作成は原則的にレジベンダーが実施します。
通常の補助金と異なり、一般的に事業者に大きな負担はかかりません。
エアレジを導入する場合の必要金額
例えば、開業するタイミングでエアレジを導入する場合の費用総額はどれくらいになるのでしょうか。
以下の表で試算をしてみました(金額は全て税抜きです)。
補助金適用前 | 補助金適用後 | 負担軽減額 | |
---|---|---|---|
iPad | 37,800円 | 18,900円(補助金で1/2) | △18,900円 |
エアレジ利用料 | 無料 | 無料 | 0円 |
レシートプリンター内臓キャッシュドロワー (m-pop) | 54,800円 | 18,267円(補助金で1/3) | △36,533円 |
合計 | 92,600円 | 37,167円 | △55,433円 |
エアレジを導入するにあたり補助金を活用することで、レジ導入の費用総額が92,600円から37,167円(60%オフ)になりました。
なお、エアレジで消費税軽減税率対策補助金の申請は、以下の手順で行うこととなっています。
エアレジ 消費税軽減税率対策補助金 申請の手順について
非常に大きな補助金ですので、これを機にiPad等のタブレットレジの導入を検討されるのはいかがでしょうか。