マネジメント

飲食店を開業する前に考えておくべき立地の選び方

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。

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更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月27日

飲食店を開業するうえで、最も重要なポイントの一つが、立地です。
繁盛店になれるかどうかを左右するほど重要と言われているお店の立地ですが、実は立地だけが重要ではないのです。
今回は、お店を出店する際に重要と言われている立地について、解説してみようと思います。

売上の7割は立地で決まると言われるように、お店の立地は重要です。いい立地に出店することが繁盛店への第一歩です。
お店の立地を明確な戦略を持たずに安易に決めてしまうと、後悔してしまうことになるでしょう。

お店の立地の特徴

人通りが多い立地であればよいのかというとそうでもありません。主要駅前や繁華街などは半径数百メートルの範囲内にたくさんの飲食店が軒を連ねており、競合も多いですし、家族連れをターゲットにしているのであれば、お店のコンセプトと立地がマッチしないこともあります。
一方で、郊外や住宅街では、人通りは少ないですが、物件の賃料は繁華街に比べたら安い場合が多く、競合店との競争は少ないと思われます。
このように、どの立地が良いというのは一概には言えないものです。
ここで、お店を出店する際の主な立地の特徴について、見てみましょう。

繁華街

土日や休日に人が集まりやすい立地であり、比較的夜遅い時間帯でも売上を確保しやすい立地です。メインとなるターゲットは若者やカップルが中心となります。
特徴

  • 平日だけでなく、土日にも人が集まりやすく、集客はしやすい
  • 店舗の家賃や敷金・保証金などが高くなる
  • スタッフも周りの競合店との確保競争があるため、人件費も高くなりがち

駅近

電車を利用するお客様が多いため、アルコールが出やすいという特徴があります。一方で、家賃や保証金、人件費が高いので、固定費が高くなりがちです。
特徴

  • 駅を利用する人が多いと、店舗の周りの人の流れが多くなるため、集客はしやすくなる
  • 店舗の家賃や敷金・補償金などが高くなる
  • スタッフも周りの競合店との確保競争があるため、人件費も高くなりがち

郊外

郊外の店舗は、多くのお客様が車で来店するため、駐車場の台数と駐車場への動線(看板など)、駐車場への入りやすさが重要なポイントとなります。
特徴

  • 繁華街の店舗と比べて、店舗や駐車場の面積が広い
  • 店舗の家賃(坪単価)が低い
  • 車での来店が多いため、アルコールを提供しにくい。

コンセプトと立地のマッチングが重要

このように、立地ごとにいろいろな特徴があり、一概にこの立地だからよいということにはなりません。どのような立地も万能ではなく、家賃、ターゲットの層や志向などさまざまな要素があります。
では、立地選びをどうすればよいかということになりますが、最も重要なのは、お店のコンセプトに合った立地を選ぶことです。
お店のコンセプトとは、一言でいうと「どのようなお店」かということです。詳細な解説は、こちらの記事をご覧ください。
飲食店を開業する前に決めておくべきお店のコンセプト
例えば、焼き鳥居酒屋を経営するのであれば、ターゲット層は会社帰りのサラリーマンとなるため、サラリーマンが立ち寄りやすい立地でないといけません。そうすると、駅から歩いて15分のロードサイド店ではなく、多少家賃が高くても駅近の立地を選ぶべきです。
一方で、低価格のレストランを経営するのであれば、ターゲットは小さな子供がいるファミリーや家族連れなど幅広い層となるため、駅から離れていても車で来店できる郊外のロードサイド店がマッチします。
コンセプトから立地を選ぶためのステップとして、次のようなものがあげられます。

Step1

飲食店をオープンして、どのようなお客様をメインのターゲットしたいのかをしっかり考える必要があります。
そして、そのターゲット層の行動パターンや動線をしっかり把握します。この時重要なのが、ターゲット層がどのような時間帯やタイミングで来店したくなるかをしっかりと理解することです。
例えば、 居酒屋であれば、会社帰りのサラリーマンが会社の最寄り駅の近くで寄るのか、自宅の最寄り駅の近くで寄るのか? レストランであれば、家族連れが平日の夜に外食するのか、休日のランチなのか、遊びに行った帰りに外食するのか?
そして、パターンや動線を具体的にイメージして、グーグルマップなどを使いながら、地図に落とし込んでいって、候補地をリストアップします。

Step2

Step1で絞り込んだ候補地の物件を具体的に探してみます。
この時に、インターネットの不動産検索サイト(ヤフー不動産など)を使うと便利です。 候補地の周辺の店舗の家賃相場がどの程度なのかを調査します。具体的には、路面店かどうか? 店舗の面積は? 駐車場の有無や台数は? 周辺の状況は?(道路の幅、角地かどうかなど) 周りの競合店の状況は? などをチェックしながら、賃料相場と敷金・保証金を確認していきます。
ここで、具体的な店舗物件まで目星をつけておきます。

Step3

Step1で仮説を立てたターゲットとなるお客様の行動パターンから、想定する時間帯を絞って、Step2でリストアップした具体的な候補物件の周辺を見学に行きましょう。
実際にその時間帯に見学することで、人の流れを具体的に確認することができます。そこで、イメージしていたとおりの人の流れや周辺の店舗の客入り状況であるかどうかを確認し、お店のコンセプトと立地がマッチしているかを実際に確かめましょう。

立地選びは重要

お店の立地選びは重要です。
それは、立地だけで決まるものではなく、お店のコンセプトや来店して頂きたいお客様の層、提供するメニューや価格帯などから総合的に決まってくるものです。
立地選びを思い込みやイメージ、感覚で決めるのではなく、仮説検証していく中で決めていけば、成功確率を高めることができますので、しっかりと考えていきましょう。

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。その後、株式会社ナレッジラボを創業し、代表取締役CEOに就任。

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