更新日:2023年2月27日 投稿日:2019年12月26日
青色申告とは
まず、先ほど開業届を提出しないデメリットとして紹介しました青色申告って何?というところですが、青色申告とは事業によって得られた所得を確定申告する際の申告方法のひとつで、帳簿をきっちりつけないといけない反面、多くの節税策を受けることができる税金の申告方法です。
青色申告には大小さまざまな節税ルールが設けられています。例えば、
所得が65万円マイナスされる
青色申告によって、ちゃんとした簿記のルールで帳簿を作成したら、所得が65万円マイナスされます。
所得とは、税金が計算される元となる利益の金額ですので、これが65万円マイナスというのはかなり大きいです。
家計簿のような簡単な簿記で帳簿を作成しても、所得が10万円マイナスされます。
青色申告の大きなメリットですね。節税効果も大きいです。
赤字を繰り越して、翌年以降の税金を減らせる
事業をやっていて、できれば避けたい赤字・・・。でも、特に開業当初は事業が軌道にのる前なので、赤字になりがちです。
そんなとき、青色申告をしていれば、赤字を繰り越して、翌年度以降の儲けから前年までの赤字を差し引いて税金を計算することができます。
家族に給与を支払えば経費で落とせる
家族を「青色申告専従者」にして給与を払えば、給与分が経費になります。
事業のスタート時点では、家族に手伝ってもらうことも多いと思いますが、この時に家族分の給与が経費で落とせると節税ができます。
このような節税効果の大きい青色申告を利用しない手はないのですが、開業届を出していないと、これが利用できません。
なお、青色申告をするためには、青色申告承認申請書の提出も必要になりますので、こちらも合わせて作成・提出しましょう。
参考記事:【図解】これだけでできる青色申告承認申請書の書き方
したがって、開業届は基本的に出しておく方がいい書類になりますので、ぜひ作成しましょう。
開業届の書き方
1.税務署長・提出日
まず、開業届の左上にある欄から埋めていきましょう。
ここには、納税地の所轄税務署を書きます。
納税地がどこか?というのが気になると思いますので、こちらは、2.納税地をご覧ください。
また、提出日は、実際に郵送する日など提出する日を記入しください。
2.納税地
次に、開業届の右上に移りましょう。
納税地とは一般的には住所になります。つまり、国内に住所がある人は、その住所地が納税地になります。
お店や事務所が別の場所にあったとしても、住んでいる場所が納税地となります。
所轄税務署はこちらから調べることができます。
国税局・税務署を調べる
したがって、開業届のこちらの欄では「住所地」を選択した上で、郵便番号と住所、電話番号を記入してください。
3.上記以外の住所地・事業所等
納税地以外に住所地・事業所等がある場合には、これも開業届に記載します。
例えば、開業するお店や事務所が別の場所にある場合は、ここに郵便番号、所在地を記入してください。
4.氏名・生年月日
氏名と生年月日を記入してください。
5.個人番号
開業届の個人番号の欄には、マイナンバーを記入してください。
6.職業
職業欄は開業する職業を記入してください。
ひと言で簡単に書いてOKです。
複数にわたる場合は、職業欄に複数並べて記入すれば問題無いです。
なお、開業届に記載する職業に何を書いたらいいかよくわからない場合は、以下を参考にしてください。
日本標準職業分類を調べる
7.屋号
開業するお店や事業の名前があれば、ここに記入してください。
なければ特に記入せず空欄で問題ありません。
8.届出の区分
開業の場合は、開業に丸をつけるだけで、住所、氏名欄は空白でOKです。
住所、氏名欄には、事業の引継ぎを受けた場合のみ記載します。
9.所得の種類
お店やフリーランス、一般的なビジネスを開業するのであれば、事業所得を選択します。
ただし、開業届の対象となる事業が不動産賃貸がメインである場合は、不動産所得を選択します。
10.開業・廃業等日
開業した日を記入してください。
開業日に特に決まったルールはなく、オープンした日、開業準備を開始した日などを記入すればOKです。
11.事業所等を新増設、移転、廃止した場合、廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
開業の場合は、記入不要です。
12.開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」
青色申告承認申請書を提出する場合は開業届のこちらの欄の「有」に丸をつけてください。開業届を提出するメリットにもなる青色申告は手間がかかる反面、節税のメリットが大きいため、提出した方がベターです。
消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」
消費税に関する「課税事業者選択届出書」を提出しない場合は開業届のこちらの欄の「無」に○を付けます。基本的には「課税事業者選択届出書」は提出しない方がお得です。
しかし、店舗などで初期投資が多額にかかる場合や輸出メインの場合は、あえて課税事業者を選択することで、消費税の還付を受けることができる場合があります。このような時は課税事業者選択届出書を提出することになります。
消費税に関する「課税事業者選択届出書」を提出するかどうかは金銭的影響が大きいので税理士に相談することをオススメします。
なお、これらの届出書には期限がありますので、ご留意ください。
「青色申告承認申請書」
- 1月 15 日までに、新たに事業を開始した場合……その年の3月 15 日
- 1月 16 日以降に、新たに事業を開始した場合……事業を開始した日から2か月以内
「課税事業者選択届出書」
- 新たに事業を開始した年の末日(12 月 31 日)
13.事業の概要
事業の内容を具体的に記載してください。
どのような業態で、どのように売上を得ているかを具体的に書いてください。例えば、
- アジア料理を中心とした飲食店の経営
- カフェバー・飲食店の経営及び食料品の販売
- WEBサイトの企画、制作、構築、運営
- インターネット、ホームページの企画、制作
- 組立治工具及び自動化機器の設計と製作
- こんにゃくを原料とした食品の製造および販売
- パンの製造と販売
14.給与等の支払の状況
開業当初から家族に給料を出して手伝ってもらったり、従業員を採用したりするのであれば、この情報を開業届に記入しておきます。
「従事者数」の欄は、雇用する人が配偶者や親、子であれば「専従者」欄に、そうでなければ「使用人」欄に人数を記入します。
「給与の定め方」の欄は、「日給」や「月給」などと記入します。
「税額」の欄は、その区分の全員が月給が約8万円までなら、「無」、一人でも約8万円を超えていたら、税額が「有」を選択します。こちらは例えば、「無」として結果的に税額が発生したとしても、問題無いです。
ちなみに、従業員を雇って給与を支払うと、源泉徴収が必要になりますのでご留意ください。
15. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無
上記のとおり、給与を支払うと源泉徴収が必要になります。
源泉徴収とは、従業員への給与や税理士などの専門家への報酬で発生する税金(所得税)を事業主が差し引いて支払い、事業主が差し引いた税金を従業員などに代わって国に納付する制度のことです。
源泉徴収は、従業員を雇う場合は義務であり、怠ると罰則がある厳しい規定です。
一方で、その納付は、原則お給料や報酬を支払った月の翌月10日までに納付しなければなりませんが、毎月納付するのは結構手間で大変です。
そこで、一定の要件を満たすと、年2回まとめて納付することができるという特例制度があり、これを「源泉所得税の納期の特例」といいます。
源泉所得税の納期の特例を承認してもらうために申請書を税務署に提出する必要がありますが、これを提出するのであれば、開業届のこの欄の「有」を選択した上で、給与の支払を開始する日を記入します。
なお、給与支払いの開始日が未定の場合は、ブランクでもOKです。
16.その他参考事項
空欄でOKです。
17.関与税理士
もし顧問の税理士さんがいらっしゃれば、税理士さんの氏名と電話番号を記入してください。
いない場合は、空欄でOKです。
開業届を提出する
それでは、作成した開業届を税務署に提出しましょう。
- 開業届をA4で2部印刷します(提出用と控え用)。
- 開業届の氏名の欄に押印します。
- 大きめの封筒(A4が入るサイズ)を2つ用意します。1つには、所轄税務署の宛先を記載し、もう1つに自分の住所氏名を記載した返信用封筒を用意します。(両方に切手を貼っておきます)
- 一週間程度で税務署から返信用封筒で受領印が押印された開業届は送られてきますので、これを保管しておきます。