資金調達

【目的別】個人事業の起業に最適な銀行の選び方

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。

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更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月26日

個人事業を起業するにあたっては、まず事業用の銀行口座が必要になってきます。
これまでも銀行口座は持っていたけど、事業用となるとどう選んだらいいの?どの銀行の口座を選べばいいの?
という疑問にお答えするために、今回は、個人事業として事業用の銀行口座をどうやって選ぶべきかを目的別に解説します。

銀行の特徴

一般的に銀行と呼ばれる機関は、全国で542行(平成29年2月時点)あります。
銀行といっても、いろいろな機能や特色があり、目的に応じて選んでいく必要があります。
ここで、個人事業を起業する上で事業用の銀行口座を持つことができる主な銀行は

  • メガバンク
  • ネット銀行
  • 地方銀行
  • 信用金庫

に分けられます。

メガバンク

東京三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行といった東京や大阪に本店を置き、全国に支店がある全国展開している銀行をメガバンクといいます。

ネット銀行

ネット銀行は、ジャパンネット銀行、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行など、実店舗を持たずにインターネット上での取引に特化した銀行であり、2000年代に入って普及してきた新しい形態の銀行です。

地方銀行

地方銀行は、各都道府県に本店を有している銀行であり、正確には、地方銀行と第二地方銀行があります。地方銀行が各地域経済に大きな影響を与えている金融機関であり、地域の中堅企業や中小企業を中心に、大企業からスモールビジネスまで幅広い顧客層を持っています。

信用金庫

信用金庫は、地方銀行よりもさらに地域密着型の金融機関として地方経済を支えています。規模も地方銀行よりも小さいケースが多く、顧客層も地元の個人事業主や中小企業がメインとなります。

目的別銀行の選び方

銀行は単純にネームバリューやブランドで選んではいけません。
個人事業を経営していく上で、お金をどのように管理したいのかを見据えながら選んでいくべきです。
以下で、お金の管理という目的別に銀行の選び方を解説します。

頻繁に入出金をしたい

飲食店や小売店など、現金を扱う業種・業態であれば、売上金を銀行に入金したり、支払を現金ですることがよくあります。このように頻繁に入出金したいという目的であれば、銀行の選び方は以下のようになります。

メガバンク

東京や大阪など、大都市部であればメガバンクの支店やATMは多くありますが、郊外に行けば駅前や街の中心部まで行かないと支店やATMがなく不便になりますし、地方都市へ行けば支店やATMがないこともあり、便利とは言えないこともよくあります。

ネット銀行

ネット銀行は、そもそも自前に支店やATMを持っていないことが多く、提携銀行などのATMで入出金を行うことになります。そのため、入出金の都度手数料が発生するケースが多く、入出金の頻度が多ければ不利となることもあります。

地方銀行・信用金庫

営業を行う拠点の場所にもよると思いますが、地方銀行や信用金庫であれば、高確率で近場に支店やATMがある可能性が高く、日中であれば、手数料も無料ということも多いため、入出金はしやすいケースが多いです。

全国で幅広くビジネスをしたい

フリーランスや専門業の方など、全国を飛び回って営業したり、講演会をしたりという業種・業態のビジネスであれば、全国どこにいっても利用できる銀行は便利ですね。このように、全国で幅広くビジネスをしたいという目的であれば、銀行の選び方は以下のようになります。

メガバンク

全国に幅広い支店やATMを持っているメガバンクは、全国にお客様や取引先がいる業態でメリットがあります。全国どこにいってもメガバンクを知らない人はいないので、安心して取引をしてもらえるというメリットは大きいです。

ネット銀行

ネット銀行はそもそも物理的な支店やATMがないので、ローカルビジネスでも全国展開しているビジネスでも関係なく安定した銀行取引ができます。とはいえ、知名度的にメガバンクには及ばないため、メガバンクに比べてマイナスになることもあるかもしれません。

地方銀行・信用金庫

多くの地方銀行は、東京や大阪の大都市圏には出店していますが、まだまだ少数で利便性が高いとまではいえず、東京・大阪以外には出店していないことも多いです。信用金庫に至っては、地方銀行よりもさらにエリアが狭くなってしまい、都道府県単位でも全域を網羅していないケースも多いです。このように地方銀行や信用金庫は、全国展開という点において弱みになってしまいそうです。

将来的にお金を借りたい

自己資金で事業しているけど、将来的には店舗を増やしたい、とか設備投資をしたいので、お金を借りることを考えている方もいらっしゃると思います。このように、将来的にお金を借りたいという目的であれば、銀行の選び方は以下のようになります。

メガバンク

メガバンクが取り扱う融資は、基本的に金額が大きなものがメインとなっており、創業融資や少額の融資は得意としていません。起業して間がない個人事業や会社が融資を受けるには、ハードルが高いでしょう。

ネット銀行

ネット銀行では、事業の融資商品として、ビジネスローンを用意しています。ビジネスローンは、担保が不要であったり、審査が早いなど、個人事業主にとってありがたいことがある反面、金利が高く設備資金や長期の運転資金といった数年単位で借りるにはコスト高になってしまうというデメリットがあります。

地方銀行・信用金庫

中堅・中小企業や個人事業が主な顧客層となる地方銀行や信用金庫は、個人事業で安定した融資を受けるためにはベストであるといえます。特に、信用金庫は、個人事業や中小企業がメインターゲットとなっていることが多く、柔軟に対応してもらえるケースが多いと思います。

インターネットバンキングを使いこなしたい

銀行やATMに行く時間がもったいない、とかインターネットを使って決済や送金をして効率化したいという方が最近増えてきています。このように、インターネットバンキングを使いこなしたいという目的であれば、銀行の選び方は以下のようになります。

メガバンク・地方銀行・信用金庫

ほとんどの銀行で、最近はインターネットバンキングを利用できます。しかも、個人事業であれば、無料で利用できることも多く、機能的にも必要十分ではないかと思います。
ほとんどの銀行がクラウド会計にも対応しており、便利に使っていただけます。

ネット銀行

ネット銀行は、そもそもインターネット上での銀行取引ですので、別途インターネットバンキングを申し込まなくても利用できるという便利さはあります。
こちらも、クラウド会計に対応しています。

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。その後、株式会社ナレッジラボを創業し、代表取締役CEOに就任。

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