更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月25日
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労働保険とは
まず、保険関係成立届の解説に入る前に、労働保険とは何か、について簡単にまとめてみます。
労働保険とは、労災保険と雇用保険をいいます。
労災保険と雇用保険の概要を下表にまとめます。
労災保険 | 雇用保険 | |
---|---|---|
手続きの窓口 | 労働基準監督署 | ハローワーク |
適用の条件 | 従業員が1人でもいれば加入しなければならない |
次の2つを満たす従業員がいる場合
|
概要 | 従業員の業務中または通勤中の病気や怪我、死亡などに対して給付される保険 | 従業員が失業したり、育児・介護で働けなくなった時に給付される保険 |
保険料 | 全額会社(事業主)負担 | 会社(事業主)と従業員が折半(会社負担が多い) |
労災保険は短期のアルバイトも含めて1人でも従業員がいれば加入しないといけません。全ての従業員が対象となりますが、従業員について個別の加入手続きをする必要はありません。なお、役員は対象外となります。
保険料は全額会社(事業主)負担となります。
一方で、雇用保険は、31日以上雇用見込みあり、1週間の所定労働時間が20時間以上ある労働者を雇用する場合に加入しなければいけません。しかし、65歳以上で入社した従業員は雇用保険の対象外です。ちなみに、雇用保険も労災保険と同じように役員は対象外です。
保険料は、 会社(事業主)と従業員が折半しますが、会社負担が多くなります。
保険関係成立届の書き方
それでは、労働保険の保険関係成立届の書き方に入っていきます。
まず、用紙ですが、紙で申請する場合は特殊用紙が必要ですので、所轄の労働基準監督署かハローワークに郵送で請求するか、取りに行く必要がありますので、ご留意ください。
冒頭の記載
初めて従業員を雇用する場合は、まず関係のない「1:保険関係成立届(有期)」と「2:任意加入申請書(事務処理委託届)」を二重線で消去します。
続いて、その下の選択は、最寄りの労働基準監督署を記入し、労働局長と公共職業安定所長を二重線で消去した上で、「(イ)届けます」を○で囲みます。
事業所の住所
会社の場合は、会社の所在地を記入します。
個人事業で場合は、事業所(店舗や事務所など)の所在地を記入します。
カナと漢字でそれぞれ1マスにつき、1字ずつ記入します。なお、濁点等も1マス使って記入してください。
事業所の名称・氏名
会社の場合は、名称・氏名の欄に会社名を正式名称で記入してください(株式会社等の会社種類も記入します)。
個人事業の場合は、屋号があれば1行目に屋号の名称と2行目に代表者の個人名を記入します。屋号がなければ、1行目に代表者の氏名を記入します。
会社の概要
続いて、保険関係成立届の右側の欄を記入していきます。
①事業主
この欄は記入不要です。
②事業
会社の場合は、所在地欄に会社の所在地、名称欄に会社名を正式名称で記入します。
個人事業の場合は、所在地に事業所(店舗や事務所等)の所在地、名称欄に屋号と代表者名を記入します。
③事業の概要
事業の概要には、製造工程や作業内容、製品名や商品名などの事業の内容が具体的にわかるように記入します。例えば、
- 食料品・日用品等の販売
- 衣料品の販売
- 雑貨店
- 金属製品の加工業
- WEBサイトの受注制作
④事業の種類
事業の種類には、業種を記入します。例えば、
- 卸売業
- 小売業
- 金属加工業
- 飲食業
- IT業
⑤加入済みの労働保険
加入済みの労働保険があれば選択しますが、初めて従業員を採用し、届け出を提出する場合は、記入不要です。
⑥保険関係成立年月日
保険関係成立年月日は、適用事業所になった日を記入します。
⑦雇用保険被保険者数
雇用保険の対象となる従業員数を記入してください。
⑧賃金総額の見込額
保険関係成立届の提出日から保険年度末(次の3月末)までの間に発生すると見込まれる従業員の給与支払い見込み額の合計(給与・残業代・賞与・手当を含む)を記入します。
保険関係成立年月日
適用対象となる従業員を雇用した日を記入します。なお、元号の欄は、平成であれば「7」と記入します。
常時使用労働者数
その年度の1日の平均従業員数の見込みを記入します。なお、1日の平均従業員数は、年間の延労働者数÷年間の所定労働日数で算定します。
雇用保険被保険者数
雇用保険を適用している従業員数を記入します。初めて届け出を提出する場合は、適用する人数を記入します。
免除対象高年齢労働者数
従業員のうち、4月1日現在で64歳以上の人数を記入します。
労働保険保険関係成立届の完成
これで、労働保険保険関係成立届が完成しました。
いかがでしたでしょうか?
社会保険手続きをきっちり終わらせて、経営管理をしっかりやっていきましょう。
小さな会社が従業員を雇っても安心して経営するために欠かせないこと
ヒトにまつわるお金の問題
小さな会社でも事業が成長したり、売上が増えてくると必ず頭を悩ませるのが、お金の問題です。
特に、ヒトに関するお金はシビアな問題がつきものです。
例えば、スタッフを採用するのであれば、
- 給料はいくらにすればいい?
- 頑張っているから昇給してあげたい・・・
- 賞与はどれくらい出すべき?
というように、ヒトに関するお金のことで悩みは尽きません。
また、ヒトに関するお金は、想像している以上に経営に大きなインパクトを与えます。
スタッフを採用すれば、給料だけでなく、社会保険や通勤手当、賞与などの人件費はもちろん、机やパソコンが必要であったり、水光熱費なども増えるため、気がついたら想定よりも多くのお金が出ていってしまっていることもよくあります。
だからと言って、スタッフを採用しないと、事業は成長しませんし、何より仕事が回らなくなってしまいます。
ここで重要になるのが、しっかりお金(数字)を意識しながら、経営をシミュレーションすることです。
数字を読みながら、スタッフの給与、昇給、賞与などを決めていくことによって、お金で失敗するリスクを大きく下げることができます。
経営が突然死しないためのお金の動きを読むことが重要
このように、事業が成長すればするほど、出て行くお金が増えてきます。
そうなると、お金の出入りをきっちり把握し、経営を先読みしていかないと、お金を増やしていくことができません。
ここで重要になるのが、しっかりお金(数字)を意識しながら、経営をシミュレーションすることです。
数字を読みながら、スタッフの給与、昇給、賞与などを決めていくことによって、お金で失敗するリスクを大きく下げることができます。
経営を先読みするシミュレーションをしながら、お金の動きを把握することが、安定した経営のためにとても重要なポイントとなります。一般的に経営をシミュレーションしようとすると、会計ソフトから会計データをエクセルなどの表計算ソフトにエクスポートし、数字を動かしていくことでお金をきっちり残しながら、お金の使い方を考えることになります。エクセルは非常に便利なツールで、会計データがあれば、基本的なお金の動きの分析はできますし、編集などもできますが、いくつか越えるべきハードルがあります。
まず1点目ですが、お金の動きを分析をするためには、ある程度の会計の知識が必要になることです。特に、管理会計の知識がないと、売上を増やしたら、コストがどのように動いて、利益がどう変わるかといったあたりの関係がよくわからなくなって、手を焼くことになるかもしれません。
次に、エクセルは非常に優れたツールでゼロベースでいろいろなことができるのですが、裏を返せば、ゼロから作らないといけないので、結構大変な作業になってしまいがちです。私たちも以前はエクセルで経営シミュレーションのサポートをしていましたが、私たちプロがやっても、1社あたり毎月1〜2時間はエクセルの作業時間を費やしていました。
ですので、経営シミュレーションをするためには、会計の知識とエクセルなどのスキルがあればよりベターですので、大変かもしれませんが、勉強しながら経営を先読みしてみてください。
ちなみに、簡単に経営のシミュレーションをするクラウドツールもあります。
このクラウドツールを使えば、会計ソフトからデータを連携すると5分で、会計の専門知識がなくても簡単に経営をシミュレーションすることができます。
無料で利用することもできますので、経営をシミュレーションしながら、数字を読んだ経営をしたいという方は、一度試してみてはいかがでしょうか。