更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月26日
- 日本政策金融公庫の新創業融資制度
- 地方自治体の制度融資
他にも各金融機関の融資等があるのですが、創業融資を検討する際に外せないのが、この2つになります。
今回は、日本政策金融公庫の新創業融資制度の特徴とポイントを解説します。
それでは、日本全国で利用できて、ポピュラーな制度である日本政策金融公庫の新創業融資制度から見ていきましょう。
新創業融資制度とは
日本政策金融公庫の新創業融資制度は、創業前または創業後間もない事業者が、無担保・無保証で利用できる創業融資であり、創業者にとって利用しやすい制度となっています。
新創業融資制度は、これ単体で利用できる制度ではなく、日本政策金融公庫の他の融資制度と組み合わせて利用するものとなります。この記事では、新創業融資制度のポイントと特徴をお伝えしますが、詳細をお知りになりたい方は、こちらをご覧ください。
日本政策金融公庫の新創業融資制度のページ
利用条件
まずは、新創業融資制度を利用するための要件です。実際の要件は細かく規定されていますので、日本政策金融公庫のホームページで確認していただく前提で、今回はポイントをあげてみます。要件は「創業の要件」「雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件」「自己資金の要件」の3つあり、これをすべて満たす必要があります。
利用できる要件
創業の要件
こちらは、会社として創業融資を受けたい場合は、会社を設立していないと申し込みできません。
また、事業開始は開業届の提出日など形式的な日付ではなく、例えば、賃貸借契約書や水道光熱費の支払、売上金の入金や従業員などへの給与の支払いが開始された、実質的に事業が始まったことを持って事業開始と判断されます。
雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件
次のいずれかに該当する方
- 雇用の創出を伴う事業を始める方
- 技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
- 現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
- 現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
- 現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
- 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
- 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方
- 地域創業促進支援事業による支援を受けて事業を始める方
- 公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方
- 民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
- 既に事業を始めている場合は、事業開始時に上記のいずれかに該当した方
こちらは、細かい要件は日本政策金融公庫に確認していただきたいのですが、簡単に言うと、「従業員を雇用する開業」か「ニーズがあり差別化された技術やサービスでの開業」か「過去長く勤めた業種と同じ業種での開業」であればOKということです。
自己資金の要件
こちらは、創業時に創業資金の1/10以上の自己資金があればOKということです。なお、自己資金要件については、他の要件を満たせばクリアできることもあります。
ただし、注意してきただきたいのは、1/10の自己資金を用意すれば創業融資が受けられるということではありません。あくまで申し込みができるというだけであって、実際には自己資金を多く用意すればするほど創業融資の可能性は高くなります。
実際、当社の創業融資が得られた事例でいうと、3割くらいの自己資金を用意できているケースが多いです。
融資限度額
3,000万円(うち運転資金1,500万円)
担保・保証
原則不要
なお、法人が希望する場合は、代表者が連帯保証人となることも可能です。その場合は利率が0.1%低減されます。
返済期間
他の利用する融資制度によって変わってきます。
例えば、新規開業資金と合わせて利用するのであれば、
- 設備資金 20年以内(うち、据置き期間2年以内)
- 運転資金 7年以内(うち、据置き期間2年以内)
となります。
返済を最長で2年間しなくてもよい(返済を据え置いてくれる)のも、創業段階としてはありがたいですね。
こちらも、あくまで最長の返済期間ということで、実際の資金使途によって返済期間は変わってきますので、ご留意ください。
利率
個別事情によって変動しますが、こちらが参考になります。
主要利率一覧表
新創業融資制度は、他の制度よりも無担保・無保証である分、若干金利が高く設定されています。
なお、新創業融資制度は、信用保証協会の保証が不要であるため、地方自治体の制度融資では通常必要となる保証料はかかりません。
新創業融資制度のポイント
審査のポイントは案件によって変わってきますが、おそらくは自己資金の比率と創業計画書の内容と実現可能性になると思われます。
創業融資は利用しやすい制度と言われていますが、簡単に創業融資が得られるものではありません。
次に、創業計画書を何度も繰り返し検討して、実現可能性を高めていく。
この2点をクリアすることで、創業融資が得られる確率を高められるだけでなく、その後の事業の成功確率を高めることにつながりますので、手を抜かずにきっちり詰めていきましょう。
なお、創業融資の獲得率を高める創業計画書の書き方については、こちらの記事が参考になります。
参考記事:【図解】創業融資を受けるための事業計画書の書き方
その他
創業融資の申し込みから審査結果が出るまでは平均で1ヶ月程度です。
前もって準備を入念に行い、余裕を持って申し込みをしましょう。
新創業融資制度まとめ
新創業融資制度の特徴は、
- 不動産などの担保が不要
- 代表者保証なしで利用できる
- 信用保証協会の保証もないため、信用保証料がかからない
- 金利水準は若干高め
となっています。
地方自治体の制度融資を含め、新創業融資制度の特徴を踏まえて、創業融資を検討してみてください。
なお、利用できる要件や金利など詳細は、日本政策金融公庫にご確認ください。
また、各地方自治体の制度融資については、こちらの記事が参考になります。
参考記事:創業時に活用できる制度融資のポイント〜大阪編〜
参考記事:創業時に活用できる制度融資のポイント〜東京編〜