更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月26日
青色事業の専従者給与とは
個人事業主の場合、特に立ち上げ当初は、事業主の家族で一緒に事業をするケースがよくあります。
この時、事業を手伝ってくれる家族に給与を支払うことがありますが、一緒に生活をしている家族への給与の支払は、原則として経費になりません。
でも、いくつかの条件をクリアすれば、一緒に生活をしている家族への給与が経費として落とすことができるようになります。
これが「青色事業専従者給与」です。
青色事業の専従者給与の条件
それでは、青色事業の専従者給与が利用できる人の条件をみてみましょう。これらの条件を全て満たせば、青色事業の専従者給与が使えます。
「所得税の青色申告承認申請書」と「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出
まず、青色申告をすることが前提となりますので、青色申告するための届出書を提出する必要があります。
また、青色事業の専従者給与を利用するための届出書である「青色事業専従者給与に関する届出書」も提出しないといけません。
事業主と同一生計である
同一生計という専門用語が出てきましたが、これは簡単にいうと、事業主と同居していたり、別居していても生活費は事業主との間で仕送りされているようなケースのことを言います。
15歳以上の家族や親族である
その年の12月31日現在で年齢が15歳以上の家族や親族である必要があります。ちなみに、親族とは、配偶者、6親等以内の血族および、3親等以内の姻族をいいます。
また、その人が他の仕事をしていないことが条件となります。
1年の半分超をその事業に専念している
その年を通じて1年の半分超を、その事業に専念する必要があります。
青色事業専従者給与に関する届出書の書き方
それでは、青色事業専従者給与に関する届出書の書き方について、解説します。
まずは、国税庁のホームページから、青色事業専従者給与に関する届出書の様式をダウンロードします。
国税庁:青色事業専従者給与に関する届出手続
青色事業専従者給与に関する届出書の全体像は以下の通りです。
この書き方を上から順番に見ていきましょう。
見出し
まず、見出しは、「届け出」を選択します。
管轄の税務署長と提出年月日
青色申告専従者給与に関する届出書の左上に、管轄の税務署を記入するとともに、青色申告専従者給与に関する届出書の提出日を記入します。
納税地
納税地とは一般的には住所になります。つまり、国内に住所がある人は、その住所地が納税地になります。
お店や事務所が別の場所にあったとしても、住んでいる場所が納税地となります。
所轄税務署はこちらから調べることができます。
国税局・税務署を調べる
したがって、青色事業専従者給与に関する届出書のこちらの欄では「住所地」を選択した上で、郵便番号と住所、電話番号を記入してください。
上記以外の住所地・事業所等
納税地以外に住所地・事業所等がある場合には、これも青色事業専従者給与に関する届出に記載します。
例えば、お店や事務所が別の場所にある場合は、ここに郵便番号、所在地を記入してください。
氏名・生年月日
氏名と生年月日を記入してください。
職業
職業欄は事業の内容を簡潔に記入してください。
ひと言で簡単に書いてOKです。
複数にわたる場合は、職業欄に複数並べて記入すれば問題無いです。
なお、職業として何を書いたらいいかよくわからない場合は、以下を参考にしてください。
日本標準職業分類を調べる
屋号
お店や事業の屋号があれば、ここに記入してください。
なければ特に記入せず空欄で問題ありません。
青色事業専従者給与
まず、青色事業の専従者給与の支給のタイミングを記入します。
その年から青色事業専従者給与を利用するためには、この届出書を以下の期限までに税務署に提出してください。
- 1月15日までに、事業を開始した・専従者となった場合・・・その年の3月15日
- 1月16日以降に、事業を開始した・専従者となった場合・・・その日から2か月以内
なお、この届出書に記載した専従者給与の金額の基準を変更する場合(給与規程を変更する場合、通常の昇給のわくを超えて給与を増額する場合など)や新たに専従者が加わった場合には、すぐに変更届出書を提出してください。
ここから、少し細かくなります。
専従者の氏名・続柄・年齢・経験年数
これらの欄には、青色事業の専従者給与の対象となる人の氏名・続柄・年齢・経験年数を記入してください。
留意点は、以下の通りです。
- 続柄は、「夫」「妻」「子」「親」等を記入します。
- 経験年数は、現在の事業の経験年数に加えて、他の同種・類似した事業に従事した期間があればその期間も合計した年数を記入します。
仕事の内容・従事の程度・資格等
簡潔に従事する仕事の内容を記入してください。例えば、
- 経理
- 総務
- 販売・接客
- 営業事務
また、従事の程度は、1週間の勤務日数や毎日の勤務時間などを記入します(例えば、「毎日○時間程度従事」)。
資格等については、保有している資格等があれば記入してください。
給料
給料は、毎月の給与支給日と金額を記入します。
金額については、ここで記入した金額以下であれば、専従者給与として認められますので、少し余裕を持って記入しておきましょう。ただし、あまりにも高額な給与金額を支給すると、税務署から否認されることがありますので、注意してください。
賞与
また、賞与も支給期と支給の基準を記入することができます。支給の基準には、金額でも支給月数(例えば、給与の1ヶ月分など)でも記載することができます。
ただし、賞与については、利益調整に使われやすい項目であることから、税務調査で指摘されることが多いです。他の従業員とのバランスを考えながら、利益調整と見られないような金額設定をしてください。
昇給の基準
昇給の基準があれば、こちらに記入してください。記載例としては、「使用人の昇給基準と同じ(専従者の場合)」「毎年おおむね○%(又は××円)」、「年1回昇給」など、給与規定や他の従業員とのバランスを考慮してください。
使用人の給与
使用人の給与については、他の従業員のうち、専従者給与の対象となる人の仕事と似た仕事・業務に従事する人や、給与の水 準を示す代表的な従業員を選んで記入します。
各項目の記入方法については、上記「青色事業専従者給与」を参考にしてください。