経営分析

限界利益を使いこなして利益モデルを作る手法


毎月の試算表を経営に活用するために知っておきたい「利益」の概念があります。
それは、「限界利益」です。貢献利益と呼ばれることもあります。
限界利益を計算することで、試算表ではよくわからなかった経営と業績の関係をモデル化することができるようになります。
今回は、経営を数字で管理するために重要となる限界利益について、解説したいと思います。

限界利益って何?

限界利益って何を意味しているかご存知ですか?
「限界」とついているから、何かすごくギリギリというようなイメージが私はありました。
限界という言葉を辞書で調べてみると、大辞林では以下の2つの意味があるようです。

①物事の及ぶ一番端。その状態をもちこたえることのできるぎりぎりのところ。かぎり。
②二つのものの間を境界で区切ること。

この意味でいうと、限界利益の「限界」は②二つのものの間を境界で区切ることのようです。もともと、限界利益はアメリカのmarginal costを翻訳したものですので、日本語的には少し違和感があるのかもしれないですね。

限界利益とは、売上高から変動費を差し引くことで計算される利益のことをいいます。ここで、変動費とは、仕入や外注費など、売上高に比例して増減する費用をいいます。

限界利益=売上高ー変動費

つまり、限界利益とは、商品や製品、サービスなどを売り上げることで、仕入れなどの費用を差し引いて直接的に得られる利益のことです。
イメージ的には、粗利益と呼ばれているものに近いものです。

売上が増えても、それ以上に仕入などの変動費が増えてしまっては、利益は増えないどころかどんどんお金がなくなってしまいます。
事業の利益の源泉は、限界利益です。
限界利益を意識することで、見えにくかった経営が数字で見えてくることになります。

限界利益を具体例で考えてみる

それでは、今ご紹介しました限界利益について、具体例を使って活用方法をみていきましょう。
限界利益のメリットは、経営のイメージをモデル化できることです。
ここでは、ある商店街に雑貨屋さんを出店するときの事業計画を考えている事例を想定してみます。

業種 雑貨屋
平均販売単価 500円
平均仕入単価 200円
店舗家賃 15万円/月
人件費 35万円/月
その他費用 20万円/月
借入金 300万円(5年返済)

このようなお店を考えてみましょう。
まず、限界利益を計算してみましょう。
平均販売単価は500円、平均仕入単価は100円です。限界利益を計算するためには販売数量を想定しないといけません。販売数量をVeryGood、Good、Badの3ケースにわけて想定してみます。

想定 販売数量
VeryGoodケース 3,000アイテム/月
Goodケース 1,500アイテム/月
Badケース 1,000アイテム/月

このそれぞれについて、限界利益を計算してみます。

VeryGoodケースの場合

まず、VeryGoodケースの場合、毎月4,000アイテムが販売できるとの想定です。この場合の限界利益は、

(@500ー@200)×4,000アイテム=120万円/月

ということで、毎月120万円の限界利益を稼ぐことができそうです。結構いい感じな気がします。

Goodケースの場合

次に、Goodケースの場合、毎月3,500アイテムが販売できるとの想定です。この場合の限界利益は、

(@500ー@200)×3,500アイテム=105万円/月

ということで、毎月105万円の限界利益を稼ぐことができそうです。こちらも思ったより悪くないですね。

Badケースの場合

最後に、Badケースの場合は、毎月3,000アイテムしか販売できないとの想定です。この場合の限界利益は、

(@500ー@200)×3,000アイテム=90万円/月

ということで、毎月90万円の限界利益を稼ぐことができそうです。意外とBadケースの場合でも限界利益はそこそこありそうな気もしますね。

このような形で、販売単価と販売数量や仕入単価という経営者が直感的にイメージできるものから簡単に計算できるものが限界利益です。ただ、限界利益は、これのみを計算して終わりというものではありません。

例えば、ここでの3つのケース、限界利益がVeryGoodケースの場合は120万円、Goodケースの場合は105万円、Badケースの場合は90万円という数字を見ても、これがどれくらいいいのか、これでいいのかどうかという意思決定はできません。

限界利益を計算するときに重要なのは、限界利益を持ってカバーしなければならない固定費がどれくらいあるのか?ということになります。

次に固定費を考える

ということで、次に固定費について考えてみたいと思います。
固定費とは、変動費とは異なり、売上高とは無関係に毎月発生する費用になります。
固定費というのは、必ず必要なコストですが、この固定費が経営にとって非常に重要な意味を持つことになります。赤字になって倒産する事業というのは、固定費が大きくなって限界利益でまかないきれなくなり、お金がどんどんなくなっていくというケースが非常に多いからです。そこで、限界利益と固定費のバランスというのが、経営にとって非常に重要な意味を持つことになるのです。

それでは、固定費とはどのようなものが該当するのでしょうか?
固定費は、業種や事業内容によって変わってきますので、一概にこれが固定費というようなものはないのですが、一般的に次のようなものが固定費となることが多いです。

正社員の人件費

月給として支払っている正社員の給料は固定費となります。給料だけではなく、社会保険料や通勤手当なども固定費として考えた方がよいでしょう。

お店や事務所の家賃

毎月固定で支払うことになっている家賃も固定費となります。

水道光熱費

電気代や水道代は毎月固定ではないですが、売上の増減によって水道代やガス代が変動しないのであれば、固定費と考えるべきです。

消耗品費など

消耗品やちょっとした備品、会議費など毎月確定はしていないけど、ほぼ確実に毎月発生が見込まれるような費用も固定費として考えるとようでしょう。
このように、基本的には変動費以外のものは固定費というような形で毎月の支出を整理をしながら、変動費と固定費を分けていくことになります。

雑貨屋さんは儲かるの?

それでは、先ほどの事例に戻ります。
ここでの3つのケース、限界利益がVeryGoodケースの場合は120万円、Goodケースの場合は105万円、Badケースの場合は90万円という結果、お店が儲かるのかどうかをみていきましょう。
もう一度、お店の概要を掲載します。

業種 雑貨屋
平均販売単価 500円
平均仕入単価 200円
店舗家賃 15万円/月
人件費 35万円/月
その他費用 20万円/月
借入金 300万円(5年返済)

この中で、固定費となるのは、店舗家賃、人件費、その他の費用です。

固定費=店舗家賃15万円+人件費35万円+その他費用20万円=70万円

ということで、この雑貨屋さんの毎月の固定費は70万円です。
この70万円を限界利益でまかなえるかどうかがお店の経営では重要なポイントとなります。

VeryGoodケースの場合

まず、VeryGoodケースの場合、毎月120万円の限界利益を稼ぐことができます。
ここから、固定費の70万円を差し引くと、毎月50万円の利益が残ることになります。

Goodケースの場合

次に、Goodケースの場合です。こちらのケースでは、毎月105万円の限界利益となります。
ここから、固定費の70万円を差し引くと、毎月35万円の利益が残ることになります。

Badケースの場合

最後に、Badケースの場合の限界利益は毎月90万円です。
ここから、固定費の70万円を差し引くと、毎月20万円の利益しか残らなさそうです。
このように、固定費まで考えることで、限界利益にはっきりとした意味合いを見いだすことができます。
VeryGoodケースでは、毎月50万円の利益が残りますが、Badケースでは20万円の利益しか残りません。
しかも、ここで注意をしないといけないのは、借入金がある場合には、この利益の中から借入金の返済をしないといけません。
この雑貨屋さんの場合は、300万円の借入金がありますので、5年返済で毎月5万円ずつ返済していくとなると、Badケースではかなり厳しくなりそうな雰囲気です。

簡単に限界利益を使った経営管理をする方法

以上のように、限界利益の概念は、事業計画時にはもちろん重要ですが、日々の経営においてもなくてはならない視点となりますので、是非とも経営にフル活用して、会計を使いこなしてください。では実際に限界利益を作成するときは、エクセルなどの表計算ソフトで作っていくことになります。

エクセルは非常に便利なツールで、シンプルな限界利益の計算であればエクセルで十分できますが、いくつか難点があります。

まず1点目ですが、限界利益を計算するときは、シミュレーションをしたり、毎月計算したりすることでたくさんのバージョンができますが、エクセルの難点として、ファイルのバージョンがわからなくなったり、途中でファイルが壊れるなど、仕上げていくためのやりとりに非常に手間がかかります。

次に、エクセルは非常に優れたツールでゼロベースでいろいろなことができるのですが、裏を返せば、ゼロから作らないといけないので、結構大変な作業になってしまいがちです。私たちも以前はエクセルで限界利益のサポートをしていましたが、私たちプロがやっても、1社あたり毎月1〜2時間はエクセルの作業時間を費やしていました。

このように、限界利益をエクセルでしようとするといくつかのハードルがあって、せっかく経営にとって非常に有効な手法である限界利益の活用が広まらない一つの要因でもありました。

私たちは、これらのハードルを取り除いて、限界利益をもっとたくさんの事業者の方に行って欲しいという思いものもとで、クラウド会計を使って簡単に会計分析できるクラウドサービスManageboardを開発しました。

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