更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月25日
雇用保険に加入するためには、雇用保険の適用事業所設置届を提出した後で、雇用保険の被保険者資格取得届をハローワークに提出します。
今回は、この雇用保険の被保険者資格取得届の記入例と書き方を解説します。
なお、この記事は「ハローワークで正社員の採用を失敗しないための7つのステップ」のStep7 社会保険・労働保険の手続きを行うに関連する記事です。社員採用の全体フローは、こちらを参考にしてください。
関連記事:ハローワークで正社員の採用を失敗しないための7つのステップ
雇用保険の被保険者資格取得届とは
事業主は、雇い入れた従業員が雇用保険の対象となる場合には、必ず雇用保険被保険者資格取得届を被保険者となった日(=入社した日)の翌月10 日までにハローワークに提出しなければなりません。
その後、雇用保険被保険者証とあわせて雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)が交付されます。
この交付は従業員の雇用保険の加入手続等がなされたことを確認できるようにするためのものですので、この通知書を加入した従業員本人に交付してください。
雇用保険の被保険者資格取得届の書き方
それでは、早速、雇用保険の被保険者資格取得届を作っていきましょう。
これが、雇用保険の被保険者資格取得届の全体像です。
上からひとつずつ順番に見ていきます。
まずは、用紙を入手する
まず、雇用保険の被保険者資格取得届を入手します。
ハローワークに行けば、雇用保険の被保険者資格取得届が置いてありますが、ハローワークのホームページからも入手可能です。
雇用保険の被保険者資格取得届
記入上の留意点
以下の点に留意して、記入してください。
- 記入枠に記入する文字は、光学式文字読取装置(OCR)で直接読取を行うので、この用紙は汚したり、必要以上に折り曲げたりしないでください。
- 記入すべき事項のない欄は空欄のままとし、事項を選択する場合には該当番号を記入してください。
- ※印のついた欄又は記入枠には記入しないでください。
- 記入枠の部分は、枠からはみださないように大きめのカタカナ及びアラビア数字の標準字体により明瞭に記入してください。この場合、カタカナの濁点及び半濁点は、1文字として取り扱い、また、「ヰ」及び「ヱ」は使用せず、それぞれ「イ」及び 「エ」を使用してください。
なお、記入に際しては、鉛筆やシャープペンシルではっきり書くようにしてください。
個人番号
個人番号欄には、対象となる従業員のマイナンバーを記入します。
被保険者番号・取得区分
被保険者番号と取得区分の欄は、以下のように記入してください。
過去に雇用保険に入ってなかった場合(新卒者など)
取得区分に1(新規)を記入した上で、被保険者番号は空欄にしてください。
最後に雇用保険に入っていた日から7年以上経過している場合
取得区分に1(新規)を記入した上で、被保険者番号は空欄にしてください。
過去に雇用保険に入っていた場合(中途採用者など)
取得区分に2(再取得)を記入した上で、従業員の前の勤務先から従業員に送付されてくる雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(被保険者通知用)から、被保険者番号を転記します。
なお、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(被保険者通知用)が入手できなかった場合は、取得区分に2(再取得)を記入した上で、被保険者番号を空欄にして、被保険者資格取得届の右下にある備考欄に、対象となる従業員の前職の企業名等を記入するようにしてください。
被保険者番号が16桁(上下2段で表示されている。)となっている場合は、下段の10桁のみを記入してください。この場合、最初の4桁を最初の4つの枠内に、残りの6桁を次の6つの枠内に記載し、最後の枠は空枠としてください。
被保険者氏名・変更後の氏名
被保険者となる従業員の氏名を記入します。
「被保険者氏名」の欄には、従業員の氏名を漢字で記入し、「フリガナ」の欄には、被保険者証の交付を受けている者については、その被保険者証や雇用保険被保険者資格喪失確認通知書に記載されているとおり、カタカナで記入し、姓と名の間は1枠空けるようにしましょう。
また、「変更後の氏名」の欄には、上記の取得区分で「2 再取得」を選択した場合で、被保険者証の氏名と現在の氏名が異なっているときに記入することになります。
性別・生年月日
被保険者となる従業員の性別と生年月日を記入します。
まず、「性別」には該当する番号を記入します。
また、「生年月日」について、元号は該当するものの番号を記入し、年月日の年、月又は日が1桁の場合は、それぞれ10の位の部分に「0」を付加して2桁で記入してください。例えば、昭和51年5月6日の場合は、「3-510506」と記入します。
事業所番号
事業所番号を記入します。
事業所番号が連続した10桁の場合は、最初の4桁を最初の4つの枠内に、残りの6桁を「ー」に続く6つの枠内にそれぞれ記入し、最後の枠は空枠とします。
被保険者となったことの原因
この欄には、入社などで被保険者となった原因を記入します。具体的には、以下のように選択します。
番号 | 要因 | 内容 |
---|---|---|
1 | 新規雇用(新規学卒) | 新卒者のうち、入社日が卒業年の3月1日〜6月30日である場合に選択します。 |
2 | 新規雇用(その他) |
以下のような場合に選択します。
|
3 | 日雇からの切替 | 日雇の従業員が2ヶ月に渡って18日以上または継続して31日以上同一の事業主に雇用された場合 |
4 | その他 |
次に該当する場合
|
8 |
出向元への復帰等 (65歳以上) |
65歳以上の者が出向元に復帰した場合等 |
賃金
賃金の欄には、入社日時点における賃金の支払の態様(月給・週給・日給・時間給・その他)と賃金月額(賞与は除きます)を記入します。
賃金の支払の態様は「ー」の左側に番号で記入します。賃金月額については、「ー」の右側に千円単位で記入します。賃金月額については、賞与や残業手当を除き、時間給の場合は、1ヶ月の所定労働時間をかけて算定します。
資格取得年月日
資格取得年月日の欄には、入社日を記入します。試用期間、研修期間があった場合も含めて、雇用開始の初日を記入してください。
また、年、月、日が1桁の場合は、上記「生年月日」の場合と同じような書き方をします。
雇用形態
雇用形態の欄には、該当するものの番号を記入します。 なお、以下のような場合にご留意ください。
- 派遣社員に該当する場合・・・ 「2」(派遣労働者)
- 短時間労働者(週所定労働時間が30時間未満の者(派遣労働者を除く))に該当する場合・・・「3」(パートタイム)
- 契約社員など有期契約労働者(派遣労働者、パートタイムを除く。)に該当する場合・・・「4」(有期契約労働者)
職種
職種の欄には、次の中から該当するものの番号を記入します。
- 管理的職業・・・・・・・・・・01
- 専門的・技術的職業・・・・・・02
- 事務的職業・・・・・・・・・・03
- 販売の職業・・・・・・・・・・04
- サービスの職業・・・・・・・・05
- 保安の職業・・・・・・・・・・06
- 農林漁業の職業・・・・・・・・07
- 生産工程の職業・・・・・・・・08
- 輸送・機械運転の職業・・・・・09
- 建設・採掘の職業・・・・・・・10
- 運搬・清掃・包装等の職業・・・11
職業経路
職業経路の欄には、就職するに至った経路を記入してください。
1週間の所定労働時間
この欄には、対象となる従業員が入社日時点における1週間の所定労働時間を記入してください。
契約期間の定め
この欄には、契約期間について記入します。
契約期間がある場合は、「1 有」を番号を記入した上で、契約期間を記入します。なお、契約期間の年月日の記入方法については、上記「生年月日」と同じ方法で記入します。また、契約更新条項の有無も合わせて記入します。
契約期間がない場合は、「2 無」を選択します。
事業所名・備考
まず、事業所名の欄には、事業所名の正式名称を記入します。
また備考欄には、上記「被保険者となったことの原因」の欄で「4 その他」に該当した場合の具体的説明を記入してください。
事業主
この欄には、事業主の住所、氏名、電話番号を記入します。
事業主が法人の場合は、「住所」にはその主たる事務所の所在地、「氏名」には法人の正式名称を記入するとともに、代表者の氏名を記入します。
また、事業主の氏名(法人にあっては代表者の氏名)については、自筆で記入する場合は押印は不要となります。
雇用保険の被保険者資格取得届の完成
これで、雇用保険の被保険者資格取得届が完成しました。
いかがでしたでしょうか?
社会保険手続きをきっちり終わらせて、経営管理をしっかりやっていきましょう。
小さな会社が従業員を雇っても安心して経営するために欠かせないこと
ヒトにまつわるお金の問題
小さな会社でも事業が成長したり、売上が増えてくると必ず頭を悩ませるのが、お金の問題です。
特に、ヒトに関するお金はシビアな問題がつきものです。
例えば、スタッフを採用するのであれば、
- 給料はいくらにすればいい?
- 頑張っているから昇給してあげたい・・・
- 賞与はどれくらい出すべき?
というように、ヒトに関するお金のことで悩みは尽きません。
また、ヒトに関するお金は、想像している以上に経営に大きなインパクトを与えます。
スタッフを採用すれば、給料だけでなく、社会保険や通勤手当、賞与などの人件費はもちろん、机やパソコンが必要であったり、水光熱費なども増えるため、気がついたら想定よりも多くのお金が出ていってしまっていることもよくあります。
だからと言って、スタッフを採用しないと、事業は成長しませんし、何より仕事が回らなくなってしまいます。
ここで重要になるのが、しっかりお金(数字)を意識しながら、経営をシミュレーションすることです。
数字を読みながら、スタッフの給与、昇給、賞与などを決めていくことによって、お金で失敗するリスクを大きく下げることができます。
経営が突然死しないためのお金の動きを読むことが重要
このように、事業が成長すればするほど、出て行くお金が増えてきます。
そうなると、お金の出入りをきっちり把握し、経営を先読みしていかないと、お金を増やしていくことができません。
ここで重要になるのが、しっかりお金(数字)を意識しながら、経営をシミュレーションすることです。
数字を読みながら、スタッフの給与、昇給、賞与などを決めていくことによって、お金で失敗するリスクを大きく下げることができます。
経営を先読みするシミュレーションをしながら、お金の動きを把握することが、安定した経営のためにとても重要なポイントとなります。一般的に経営をシミュレーションしようとすると、会計ソフトから会計データをエクセルなどの表計算ソフトにエクスポートし、数字を動かしていくことでお金をきっちり残しながら、お金の使い方を考えることになります。エクセルは非常に便利なツールで、会計データがあれば、基本的なお金の動きの分析はできますし、編集などもできますが、いくつか越えるべきハードルがあります。
まず1点目ですが、お金の動きを分析をするためには、ある程度の会計の知識が必要になることです。特に、管理会計の知識がないと、売上を増やしたら、コストがどのように動いて、利益がどう変わるかといったあたりの関係がよくわからなくなって、手を焼くことになるかもしれません。
次に、エクセルは非常に優れたツールでゼロベースでいろいろなことができるのですが、裏を返せば、ゼロから作らないといけないので、結構大変な作業になってしまいがちです。私たちも以前はエクセルで経営シミュレーションのサポートをしていましたが、私たちプロがやっても、1社あたり毎月1〜2時間はエクセルの作業時間を費やしていました。
ですので、経営シミュレーションをするためには、会計の知識とエクセルなどのスキルがあればよりベターですので、大変かもしれませんが、勉強しながら経営を先読みしてみてください。
ちなみに、簡単に経営のシミュレーションをするクラウドツールもあります。
このクラウドツールを使えば、会計ソフトからデータを連携すると5分で、会計の専門知識がなくても簡単に経営をシミュレーションすることができます。
無料で利用することもできますので、経営をシミュレーションしながら、数字を読んだ経営をしたいという方は、一度試してみてはいかがでしょうか。