利益を出すために絶対に欠かせない予算管理という経営手法

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。

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更新日:2020年1月10日 投稿日:2019年12月11日

お店でも、工場でも、どのような事業を経営する場合でも利益を出さないと継続できません。
当たり前のことですが、一言で利益を出すと言っても簡単なことではありません。
今回は、当社がオススメする予算管理を使って利益を出す経営手法をご紹介します。

利益を出すためには、いい商品やサービスを増やして売上を伸ばしたり、効率よく提供してコストを抑えるなど様々な経営努力が必要となります。
また、利益を出すための経営努力をするためには、軍資金としてのお金が欠かせません。売上を伸ばすために必要なアクションをするために、お金を使うことになりますが、売上が増える前に、お金が底を尽きてはそこで事業が終了します。
そのために、利益を出すためにはお金をどのように使って、どのように増やしていくかという管理が非常に重要になります。

会計は決算や確定申告のためだけでない

そこで、重要になるのが会計です。
会計といえば、税務署や銀行に提出するために決算や確定申告の目的でやっているという方が結構いらっしゃいます。
確かに、決算や確定申告をしなければ、税務署から怒られたり(無駄な税金を払うことになったり)、銀行から融資が受けられなくなるため、決算や確定申告が大きな目的であることは否定しません。
でも、もっと重要な「お金を管理」するためという目的が結構スルーされているケースが多いです。
会計とは、お金の流れに色をつけていくようなものです。
通帳だけ見ていても、お金が増えたり減ったりしているのがわかりますが、なぜ増えたか、なぜ減ったかまでは、なかなか通帳を眺めているだけではわかりません。
でも、帳簿をつけることで、このお金の流れに色をつけることができます。
例えば、この入金は売上、この支出は仕入、これは電気代、これは従業員の給料などというような形で、お金がどのような原因で増えたのか、どのような原因で減ったのかがわかるようになります。
しかも、損益計算書や貸借対照表というような表の形になって、わかりやすく業績や財産の内容にまとまる非常に便利なツールが会計です。
こまめに帳簿をつけることによって、お金がなぜ増えて、なぜ減ったのかがわかるようになるため、安定した経営をしていくために、会計を経営管理の目的で使うのはマストとなります。
私たちは、たくさんの中小企業や個人事業主を見てきましたが、安定して儲かっている会社は、例外なく会計をお金を管理する目的、経営管理の目的に使っていました。
このように、会計は安定経営のために欠かせないツールなのですが、さらに会計を活用することで、売上を伸ばしたり、利益を増やしたりするという使い方があります。
それが、予算管理です。

利益を増やすことができる予算管理という経営手法

予算管理には、いろいろなものがあります。インターネットや書籍でもたくさんの手法が紹介されていますが、私たちのいう予算管理は、
中小企業や小規模事業主の方が簡単に使えて、効果も出しやすい予算管理方法であり、簡単にいうと、会計を使った目標管理というものになります。
もう少し具体的に説明しますと、会計を活用しながら以下の3点を実施することを予算管理といっています。
1年間の目標を定め、それを達成するための売上高やコストを見積もり、ゴールとなる利益を算定することで年間予算を作る。
次に年間予算を毎月の目標、売上、コストに落とし込んで、月次予算を作る。
この月次予算を毎月の実績と比較することで達成度合いを測りながら、方向修正をしていき、毎月繰り返すことで年間予算を達成する。
いかがでしょうか?
まだイメージつかみにくいですかね?
もう少し説明します。

1年間の目標を定め、それを達成するための売上高やコストを 見積もり、ゴールとなる利益を算定することで年間予算を作る

まずは、1年後の目標を定めます。
この目標は、経営に関するものであればどのようなものでもOKです。
例えば、以下のようなものです。

  • 利益がこれくらい欲しい(例えば、営業利益が2千万円欲しい、など)
  • 1年後には従業員を1人増やしたい
  • 新規顧客を○社増やしたい

あくまで1年後の目標ですので、実現不可能なくらい高い目標は、達成できなくてモチ ベーションが下がったり、保守的すぎる目標は、予算としての機能が十分発揮できなかっ たりするので、あまりよろしくないと思われます。
頑張ったら達成できるくらい、背伸びしたら届くくらいの目標設定がポイントとなります。
その目標を達成するために必要な売上高、コストを設定していきますが、この時に参考に すべきは、過去1年間の試算表です。
過去の試算表を見ながら、将来の売上高やコストを設定して将来1年間の年間予算を作っていきます。

年間予算を毎月の目標、売上、コストに落とし込んで、月次予算を作る

次に、年間予算を毎月の予算に落とし込んでいきます。
基本的には、過去1年間の試算表を見ながら、毎月どれくらいの売上が上がっていたかを 確認し、年間予算の売上高を将来1年間の月次売上高として分けていきます。

月次予算を毎月の実績と比較することで達成度合いを測りながら、 方向修正をしていき、毎月繰り返すことで年間予算を達成する

月次予算まで作成したら、実際に予算を目標に従業員とも予算を共有しながら、事業経営 をしていき、毎月の実績としてあがってくる試算表と月次予算を比較していきます。
この時に、

  • どの項目でどのような差が生じているのか?
  • 差を埋めていくために誰がどうするのか?
  • 予算を修正する必要があるのか?

ということを定期的に社内で議論しながら、予算をベースに経営管理をしていきます。

予算管理すると経営がどう変わるのか

このような形で会計を使って予算管理をしていけば経営がどう変わっていくかというと、一言でいえば、「経営が見える化」できます。
近い将来(半年後や1年後)の目標が数値化されて、具体的な目標として経営者だけでなく、従業員も含めて共有することができます。
また、目標に対して、毎月の業績を会計という実績結果と付き合わせることで、目標達成できたかどうか、できていないなら、何が足りなかったのか?どこを改善すれば良いか?が明確にわかるようになります。
また、複雑な管理をしないことで、売上目標や利益目標の調整も簡単にでき、絵に描いた餅にならないような目標管理ができます。
例えば、1ヶ月の売上が仮に200万円だったとします。なんとなく良くやった感があるかもしれないですが、実際に年間を通して1,000万円の利益を出したいのであれば、これで十分かどうかはわからないでしょう。
なんとなく、儲かった感覚はあるけど、実際に1年間が終わって見て蓋を開けたらそんなに儲かってなかった、とか、想定外の赤字だった、ということはよくあることです。
なぜそうなるかというと、数字を使った目標管理、すなわち予算管理をやっていないからです。
会計を使った予算管理をしていくと、1年間の目標を達成するために必要な毎月の売上や抑えるべきコストが見えてきます。
また、予算をベースに経営を組み立てていくと、会社として、チームとして何をしないといけないかが明確かつ具体的になり、全体の一体感を醸成することができて、経営をコントロールしやすくなります。

手間をかけずに効果的な予算管理をかけずにする方法

このように予算管理は小規模事業や中小企業が利益を出して、経営を安定化させるためには欠かせない経営手法です。
では実際にどのように予算管理をしていくかというと、一般的には会計データを会計ソフトからエクスポートして、エクセルなどの表計算ソフトで作っていくことになります。
エクセルは非常に便利なツールで、会計データがあれば、基本的な予算管理はできますし、編集などもできますが、いくつか難点があります。
まず1点目ですが、予算管理をするためには、ある程度の会計の知識が必要になることです。特に、管理会計の知識がないと、売上を増やしたら、コストがどのように動いて、利益がどう変わるかといったあたりの関係がよくわからなくなって、手を焼くことになるかもしれません。
次に、エクセルは非常に優れたツールでゼロベースでいろいろなことができるのですが、裏を返せば、ゼロから作らないといけないので、結構大変な作業になってしまいがちです。私たちも以前はエクセルで予算管理のサポートをしていましたが、私たちプロがやっても、1社あたり毎月1〜2時間はエクセルの作業時間を費やしていました。
このように、予算管理をエクセルでしようとするといくつかのハードルがあって、せっかく経営にとって非常に有効な手法である予算管理が広まらない一つの要因でもありました。
私たちは、これらのハードルを取り除いて、予算管理をもっとたくさんの事業者の方に行って欲しいという思いものもとで、クラウド会計を使って簡単に予算管理できるクラウドサービスManageboardを開発しました。
無料でご利用いただくこともできますので、予算管理にご関心がある方、簡単に予算管理をやってみたい方、経営を見える化したい方は、ぜひ一度試してみてください。

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

有限責任監査法人トーマツ、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社にて監査、ITコンサルティング、M&A・事業再編アドバイザリーなど経営管理領域の業務を幅広く経験。その後、株式会社ナレッジラボを創業し、代表取締役CEOに就任。

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