予算

資金繰り管理が上手くできない企業の3つの特徴

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

トーマツグループに入社後、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー株式会社でM&A、事業再生業務を経験しナレッジラボを設立。

  • facebook
  • twitter
  • はてなブックマーク
  • URL貼り付け

本記事は4分で読むことができます

更新日:2020年1月9日 投稿日:2019年12月23日

「今の従業員はモノを売ってそれで終わりと思っている。」
これは私が社長から聞いた言葉です。
実際このような従業員の方が多いのが実情ではないでしょうか?売りっぱなしではだめ。きっちり回収までしてはじめて商売です。
今回は、資金繰り管理に課題を抱えている会社にどのような特徴がみられるのかについて、書いてみたいと思います。

資金繰りが見えていない会社はこんな会社

昔は、納品時に営業担当者が現金あるいは手形等で商品代金の回収まで行っていましたが、近年ではの銀行取引の簡素化や業務効率化等のため債権管理を経理部門で一元管理していることにより、営業担当者は納品が終われば業務完了と思われている方が多いことを嘆いていらっしゃいました。
このような企業では問題は特に顕在化しておりませんでしたが、現経営者から後継者の方に事業承継した場合には資金繰りに不安が残ることは否定できず、他社では実際に問題が顕在化しているケースも多く見られます。
具体的な問題としては下記のようなケースが挙げられ、このような問題を抱えている企業は少なくないと思われます。

  • 決算後の消費税等の納税資金が手当てできない。
  • 資金がショートする直前になって金融機関に借入申請を行っている。
  • 月末に金融機関を駆け回っている。

なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか?
資金繰り管理ができていない会社には特徴がありますので、一つずつみていきましょう。

 

特徴1 顧問税理士に任せっきり

まず特徴として挙げられるのが、顧問税理士に会計を任せっきりにしており、経営者・財務担当者が自社の状況を把握していないことです。
顧問税理士が作成した月次試算表を毎月確認しているケースも見受けられますが、その確認時期が早くて1ヶ月後、遅い場合には2~3ヶ月の後ということも珍しくありません。
これでは、いつまでにいくら資金が必要かは目に見えず、結果的に月次試算表が完成する頃に資金がショートしそうになり、慌てる姿が目に浮かびます。
しかも、試算表だけ眺めてみても、資金繰りはなかなか見えてこないのではないかと思います。
この問題を解決するためには、経理体制を顧問税理士に丸投げするのではなく、財務状況をおカネの流れが見える形に落とし込んだうえで、タイムリーに把握できる体制を整える必要があります。

 

特徴2 経理体制が整備されていない

自社で会計入力を行い、財務状況を即座に確認できるようになったとしても、これだけでは十分とは言えません。
各種残高があるべき数値になっているかまで確認することが重要です。
つまり正確性です。
実際、経理スタッフ等が常に忙しくしているため、部長クラスの管理職まで資料の作成に従事しており、各人が作成した資料を誰も確認することなく、会計入力していたところ、後々誤りが見つかり修正してみたら資金繰りが首の皮一枚でつながっていたということもありました。
このように自社で入力した数値が間違っていたのでは、その財務状況は何の意味も持ちません。
とはいえ、人間誰しも間違うことはあります。これを防ぐためには、経理担当者が1人しかいない場合にはチェックリストを活用し、経理部門として複数人いる場合には1人で完結させるのではなく、二重のチェック体制を構築することが重要であると考えます。
そのためには、経理部門の事務効率化や経理人材の継続的な育成を行なっていくことが望ましいと考えます。

 

特徴3 前任の資金繰り担当者からの引継ぎが不十分

「これは何のために作成する資料ですか?」
当社では、このような質問をクライアント様にすることがよくあります。
そのような時には決まって
「前担当者から作るように言われて…」
とか
「入社した時から作っているものなので…」
という言葉が返ってきます。
これは、資料の形式的な作成方法の引継ぎを重視するあまり、なぜこの資料が必要なのか、という目的が十分に引き継ぎできていないことが主な原因となっています。

また、状況が常に変化する外部環境に対応するためには、継続的に作成資料をブラッシュアップしていくことが望ましいのですが、目的が十分に理解されていないため、決められた資料を作成することが仕事になっているのです。
これによって、あまり必要のないムダな業務が多く発生して不要な残業につながっているにもかかわらず、本来やるべき管理業務(売掛金、未払金の管理や資金繰りの管理)ができていないという本末転倒な状態になっているケースがよく見られます。

中には、経理業務の3割くらいがやらなくてもいい業務であったということもありました。
これを防ぐために、担当者の経理能力を育成しながら、担当者交代などの引き継ぎもスムーズにできるマニュアル作りが重要になってきます。
マニュアルを作成するという手間は発生しますが、これによる業務見直しによるムダの排除とともに、担当者の日常業務が明確になるため、結果として経理業務が効率的になるのです。

国見 英嗣

監修:国見英嗣(公認会計士)

トーマツグループに入社後、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー株式会社でM&A、事業再生業務を経験しナレッジラボを設立。 ナレッジラボでは事業再生コンサルティングを立ち上げるとともにコンサルティングノウハウを詰め込んだ経営管理クラウド「Manageboard」の開発も行うなどテクノロジーに強みを有する公認会計士である。

  • facebook
  • twitter
  • はてなブックマーク
  • URL貼り付け

おすすめの記事